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情熱

二日かけて到着した「雲ノ平」。行きたくて行きたくてどうしょうもなかった所。が、到着寸前より相棒に高山病の気配が。。。もともと強くはないのだが、今回はちょっと様子が違うらしい。時間的にも場所的にもどうしようもないので到着後は朝までテントの中で休むしかない。一時は、「レスキュー要請」もよぎったのだが、何とかこらえて朝を迎えた。

まだ先の行程予定はあったのだが、もちろん変更して動けるうちに下山行動をとることに、今日中に何とか「双六小屋」まで戻れば標高はともかく、翌日は下山出来るという安心感は手に入るはず。小雨の降る中行動開始。荷物の大半は私が担いでいるのだが、極端なスローペースになるのはしょうがない。休み休み歩き続けて約五時間後、三俣蓮華岳との分岐に差し掛かった。もちろん巻き道を行けば下り道。三俣蓮華岳を取れば登り道。「ここは登る。登りたい。」相棒が言った。行動変更やらいろいろと迷惑をかけたことや、少しだけ昨夜より症状がましになったこと、双六小屋までの距離なども考えての決断だと思う。三十分頑張れば、後は下りになる。もしこれ以上調子が少しでも悪くなればあきらめることを約束して登ることになった。

ここから頂上までがすごかった。

いつものように後ろを歩きながら様子を見ていたのだが、とんでもないスローペース。しかし、まったく歩くのをやめない。動くのをやめない。ひと時も止まらない。三十分後、無事頂上到着。泣いた、二人で泣いた。

その後、双六小屋に到着。テントの中で休養を取る。昨晩とは違い、食欲も出てきたようで安心した。翌日は天候も体調も回復して良い登山日和になり無事下山。

無理はしてはいけないと思う。ほめられた行動でもないと思う。でも情熱がある。それでいいと思う、しょうがないとも思う、こうやって生きていこうとも思う。こういう場面を乗り越えられるスキルを身につけようと思う。

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