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地方におけるモビリティ – 庄原市現地視察報告

世界経済フォーラム第四次産業革命日本センター モビリティプロジェクトチームでは、Future of last mile(ラストマイルの未来)Rural mobility(地方におけるモビリティ)を軸に活動しています。去る10/07-8に公共交通会議ワーキング会議への参加および庄原市現地視察を行いました。

庄原市生活交通ネットワーク再編計画

庄原市は第2期庄原市生活交通ネットワーク再編計画に基づき、生活交通網の再編を行ってきましたが、この計画が本年度末で終了するため、来年度から始まる新たな次期計画を策定する運びとなりました。世界経済フォーラム第四次産業革命日本センターは、次期計画策定にあたりワーキング会議の座長を務められることになりました呉工業高等専門学校の神田教授とともに、昨年度から地方の公共交通計画について継続的に議論をさせていただいており、この度ワーキング会議に参加させていただき、意見交換を行いました。

マイカーが前提になる地方モビリティの課題

ワーキング会議には、庄原市における主要な交通機関の運営者の方々や、地元の福祉介護施設の関係者、自治会等地元の方々、市役所や商工会議所、交通を専門とする教授の皆様等幅広いステークホルダーの方が集まり、日々の生活において抱える率直な課題・悩みを議論しました。

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多くの課題が聞かれましたが、「運転代行もないため、夜に飲みに行くと帰る手段が基本的には家族の送り迎えしかない」「マイカーが前提となっているため、マイカーを持たない人々が使う公共交通の利便性が十分でない」等は複数回聞かれ、改めて地方公共交通における課題の複雑さを目の当たりにすることになりました。我々からは単に公共交通網を整備するだけではなく、でかけたくなる「ことづくり」の重要性や、経済合理性担保のため助成金以外の収益確保の手段について意見交換させていただきました。

今後も定期的にワーキングは開かれますので、今後も各地域で更に活用が進むMaaSの先進事例等を学びに、よりよい公共交通網の策定にむけてサポートさせて頂く予定です。

地域拠点の魅力をモビリティでつなぐ

翌日は、商工会議所の平田経営指導員と庄原市役所市民生活係の沖田主任のアテンドで、今回の公共交通網でオンデマンドMaaSを取り入れる予定の地域や、庄原市内で集まる場となりうる振興センター等の視察をさせていただきました。

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<JR 備後庄原駅>2020年11月リニューアルオープン予定の駅舎


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<備北丘陵公園>オートキャンプ・BBQ等も可能な340haの公園、地域の人のみならず有名で、九月の四連休には駐車場が満車になったとのこと


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<食彩館しょうばらゆめさくら>地元で取れる野菜を基に、朝市も開催する「食」の施設。毎朝通うのが地域の方々の日課に


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<振興センター>地域の活動の中心となるセンター

地域の生活に根ざした地域公共交通網にすることが大前提となりますから、そういった意味では今回の視察は日々の皆さんの生活を考える上で非常に学びが大きいものとなりました。これらの拠点をどのようにつなげるべきか、どのようにすれば更に魅力的になっていくのかを念頭に置きながら次期計画策定にむけて議論を続けていければと考えています。

世界経済フォーラム第四次産業革命日本センター
フェロー 土井崇和

資料

日本と世界における地方モビリティの変革(白書、2020年1月16日)
http://www3.weforum.org/docs/WEF_Transforming_Rural_Mobility_in_Japan_and_the_World_2020.pdf

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