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おすすめの朗読紹介するね めっちゃええで



朗読を聴くのが好きです。朗読とか、ポエトリーリーディングとか、言葉を耳で聴くアートのうち、言葉をメロディにのせない作品が好き。


なんだけど、良い朗読作品って探すのなかなか難しいんですよ。

ただ通勤中に耳で聴くために本を音声化しただけのコンテンツはaudibleなどで聴けるけど、それ自体が創作物である朗読はそもそも量が少ない。ジャンルとして確立していないし、演劇のように一回性を重んじるためメディアに記録されないことも多い。

例えば「アニメ」「ラップ」「ミステリー」みたいに既にジャンルが確立されたコンテンツは、そのジャンルがまとめられた場所が存在するのでそこから仕入れればいいけど、朗読はそういうまとめられた場所がない。そのため、落ち葉のなかにどんぐりを必死で探すように、朗読をよくやるアーティストの動向をチェックしたり、webで調べてイベントに足を運んだりしなきゃいけないわけです。


というわけで、そういうことをちまちまやっている私が、君におすすめの朗読コンテンツをご紹介します! イェイ! だいたいSportifyなど音楽ストリーミングサービスや、soundcloudで聴けるものをチョイスしたのでぜひこの土日にでも聴いてみてね。できればイヤフォンでね。


1.やくしまるえつこ



2016年3月、“Yakushimaru Experiment”名義でリリースしたアルバム『Flying Tentacles』は即興、朗読、数字を扱う実験的なコンセプトアルバムで、坂本龍一のレーベル〈commmons〉の10周年を記念して発売されました。まあやくしまるえつこの声は最高だよね。全曲良いからぜひ通して聴いていただきたいのだけど、このうち下記2曲が朗読作品となっています。

タンパク質みたいに

円城塔が書き下ろしたテキストをやくしまるが朗読・即興演奏したもの。ただテキストを読み上げるだけではなくて、録音した音声を編集して再構成したような作品です。同じフレーズを重ねたり、ちぎったり、くっつけたり、並び替えたり…言葉が何かを指し示すものではなく、素材そのものとして扱われ、立体的で不思議な世界が構築されています。最初のほうがだけでいいからぜひぜひぜひ聴いてみてほしい!! うわああって息が止まって、ぞくぞくしてくるのだよ。

思い出すことなど

骨格から復元された夏目漱石のモンタージュ音声との朗読共演を音源作品として再構築した作品。こんな漱石先生見たことない…!
タイトルの『思い出すことなど』は、明治43年、漱石が修善寺で静養中に大吐血をして危篤となった、いわゆる「修善寺大患」前後のことを綴った随筆。これを二人が読みあげています。 漱石は国語の先生みたいな声だった。


あとはこのアルバム以外だと、Youtubeで「やくしまるえつこ 朗読」で検索するといくつか出てきます、夢野久作朗読してるやつとか。多分著作権アウトだろうからリンクは貼らないけど。


2.最果タヒを読む by7(nana shimotzki)


soundcloudには朗読コンテンツがけっこうありますが、とりわけてこの人の朗読が大好きなんですよね。かわいいけど冷めた声。一番好きなのは、「きみの若さは破滅を知らない」。バックの音楽もあわさってよりエモーショナル。これを聴きながら新宿の夜の街を歩いてエモくなるがいいよ。「君はかわいい」は、何者かになることに憧れて上京してきた人間にはぞくぞくくるはず。紙面で読むより心にくるんだよな。音声だからこそ、この声だからこそ立ち現れてくるものがあるんです。


3.観音クリエイションとぬくみりゑ



ヒップホップのトラックメイカー、観音クリエイションのアルバムのうち、「流星群 feat. ぬくみりゑ」「幻視光 feat. ぬくみりゑ」の二曲は、ぬくみりゑが朗読を、観音クリエイションが音楽を担当しています。

特に流星群のほうがとても好き。6分41秒で、映画を一本見終わったような気持ちになる。長かった物語の終わりをいきなり見ているような。


4.岩手弁で聴く宮沢賢治


最後は、長岡輝子による宮沢賢治作品の朗読集。残念ながらこれはCDでしか聞けないので、私に言ってくれたら貸します。

長岡輝子という岩手県盛岡市出身の女優さんが、岩手弁、つまり賢治のふるさとの言葉で作品を朗読したものです。

これ、たしか大学一年生のとき、盛岡パーキングエリアで流れていて衝撃を受けたんだよね。賢治は毎日岩手で、土地の言葉を使って暮らしていて、そこからあの物語たちが生まれてきたんだなあって感じる。岩手弁で発せられることで、物語が生々しい肉体を手に入れるんですよ。方言の迫力ってすごい。

このCDには「永訣の朝」も入っているんだけど、前回のnoteでご紹介した、古川日出男の朗読とはまた全然違って面白い。




かわいい女の子の朗読に偏ってしまったけど、良かったら聴いてみてね。

朗読については、ポエトリーリーディングの文化的変遷とか、方言とか、古川日出男とか、声を聴くとはどういうことかとか、書きたいこといっぱいある。朗読に関して誰かと意気投合できたことがまだないので、仲間がふえるとうれしいなと思っています。前回の朗読noteも最後に貼ります。


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