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漫画

学生のころ漫研に入っていた。正式には「漫画研究会」だが、何を研究してたのかは分からない。一応部活なので、文化祭に向けイラストを描いたり、冊子を作っていたが、他の倶楽部のように日々の練習がある訳でなく、ほとんどは部室で漫画を読んだり喋ったり(笑)学校に漫画を持って来るのは禁じられていたのに、部室にはたくさんの研究資料が置いてあった。

個々で同人誌を作るようになると、部活では自由が効かないので、いつの間にか廃部になったらしいけど、勉強とは正反対の漫画を、学校が部活として認めているのは面白かったな、と思う。

さて、子どもの頃、親たちは「漫画を読むとバカになる」と言って禁止していた。親世代は、新聞に掲載された4コマ漫画しか読んだことがないのだから、新しいものを否定するのは当然だったのだろう。しかし真剣に「バカになる」と心配していたのだから、つくづく情報の少ないシンプルな時代だったと思う。ファミコン世代が親になると、ゲームが当たり前になるように、今や漫画は進化を遂げ、大学の専門課程まである。将来なりたい職業の上位3位までに入る漫画家、すっかり市民権を得てしまった昨今、バカになるどころか喜ぶ親たちを見ると、時間の流れに複雑な気持ちがする。

漫画は、絵はもちろんストーリー構成から演出まで含む、総合芸術だと思っている。イメージも全て完成されているので、ドラマ化や映画化がしやすい。相乗効果で漫画も映像も評価を得れば、莫大な富を産んで大成功!次から次へ、産めよ増やせよ消費せよ〜芸術のはずが、そのうち映像化ありきの作品とか要求されて、世の常ではあるが、一般ウケする商業的な作品を、消費者が飽きるまで描くのかな。

バカになるから読むな!と言われていたシンプルな頃、誰に認めて貰えなくても「これが好き!」って気持ちでいっぱいだった。今は情報過多で、個人の主張さえ誰かが認めてくれるけど、映画もTVも小説も、漫画やアニメに、フォークやロック、音楽も「誰にも分かってもらえない」なんて言うぐらいが一番楽しいのかな、と思ったりする。


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