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会社の魅力はどう伝えればよいか

「会社の魅力をどう伝えたらよいかわからない」
そのように悩む人事担当者・経営者の方は多いと思います。
本稿では主に新卒採用の広報において「何を伝える」べきか解説します。
手法やコンテンツに飛びつくまえに、無料でできる準備があります。意外とそれが採用広報では大切になります。
1分くらいで読める内容ですので、おつきあいください。

■学生は会社のどの点に魅力を感じるのか?

マイナビ社がリリースしている「2023年卒 大学生就職意識調査」では、学生に「企業を選択する場合にどのような企業がよいか」質問をしています。
結果は「安定している」が43.9%で一番高く、次に「自分のやりたい仕事(職種)ができる」が32.8%、「給料のよい」が19.1%と続いています。
※出典:2023年卒 大学生就職意識調査(株式会社マイナビ)
 
コロナ禍を背景に経営が「安定している」かが重要な判断材料であり、具体的な仕事内容の情報とそれに見合う給与が無いと納得して入社しないと読み取ることができます。
VUCAの時代であるがゆえに、学生たちはリスクある選択を避ける傾向もあるかもしれます。
“安定している”、“仕事に対して見合う対価があること”など、学生の傾向を踏まえた上で、採用広報を考えていかなくてはいけません。
当然、虚偽内容は広報することはできませんので、事実に基づいて、何を伝えるのか?自社の情報を整理する必要があります。
「安定している」と判断するポイントは個人によって異なります。
あるスタートアップの会社の内定者インタビューに参加した際に、プラチナ企業と呼ばれる超大手を蹴って同社に内定を決めた学生がいました。
決め手は何ですか?と質問しところ「大手よりも安定していると感じたから」と回答していました。
一見データ上は競合他社と見劣りしても、丁寧に説明をすれば学生は「安定している」と判断するかもしれません。最良の判断してもらうために、自社の情報をきちんと整理することが大切です。

■広報の前に情報を整理する

採用広報成功のカギは、情報整理です。情報整理ができれば、採用広報の7割程度完遂したといっても過言ではありません。量と質をともに情報を整理できるが大切になります。
 
今回は情報整理の6つの切り口を紹介します。
下にいくほど抽象度の高い情報から具体的な情報になっていきます。
 
①    ビジョン/パーパス
会社の「あるべき」、「ありたい」姿を言葉にしたもの。会社の最も根本的な存在意義や究極的な目的を指す。それは、「なぜそれをやっているのか」という問いに対する答え
②    風土
会社内における雰囲気、社員構成、社員間コミュニケーション、社員のひとり一人の人柄、特性、行動指針、価値観など
③    組織
業界の特徴、自社のポジションや優位性・独自性、その他業績、お客様の特徴、売上、利益などの業績面など
④    仕事
仕事の詳細、1日のスケジュール、使命感、やりがい、組織貢献、成長実感、仕事が評価される場面頻度など
⑤    待遇
キャリアプラン、評価方針、待遇、賞与・昇給、残業・休日、福利厚生、教育、研修制度、など
⑥    未来
中長期目標、戦略、具体的な取り組み、今後の業界動向、(裏づけのある)自社の成長可能性など ※場合によっては抽象度の高い情報提供でも良い

■待遇を説明する際の注意点

6つの切り口で整理した情報を説明する際には注意点があります。
数字や事実を述べる際には、その背景や理由を添えることをお願いします。「なぜかそうなるのか」補足説明すれば、他社と比べて見劣りする点があったとしても、安心や納得感を与えることができるからです。
特に注意するのは「待遇」の説明をする場合です。制度名や数字で語られることが多いため、簡素な説明になりがちで、誤解も与えやすいです。
 
【年間休日が110日であり、採用競合が120日である】ケースの回答例です。
「会社の年間休日は見劣りするかもしれませんが、この休日は有給休暇を含んではいません。有給休暇の取得は社員平均20日です。休暇はとれるので安心してください」
 
「お客様に製品を届けるために、工場をとめることはできません。そのため年間休日は110日となっています。年間休日は見劣りあるかもしれませんが、残業は原則ありません。業務DX化を推進しており、労働時間内で、仕事を仕上げる体制が整っています。社員アンケートでも「疲労を感じている」と答える社員は0です」
 
比較されると弱みになる情報でも、丁寧に説明することで、学生に納得感や安心感を与えることができます。文章で説明する場合でも補足することは有効です。
また会社説明会で対話ができる場合は、待遇などに関しての質問をした学生に「心配している点はなんですか?」と質問の意図を確認しても良いかもしれません。

 ■誰に伝えるのか考える

新卒採用においてはポテンシャル採用の側面が多いため、ターゲットを決めないという方針もあるかもしれません。
しかし、整理した情報を届けたい先がイメージできなければ、良い採用広報戦略は立てることができません。「誰に伝えるのか」を言語化することも大切です。
お勧めの方法は「ペルソナ」をつくることです。サービス・商品の典型的なユーザー像をつくる手法で、マーケティングにおいて活用される概念です。
性別、職業、家族構成、年収、生活エリア、ライフスタイル、趣味趣向などを事細かに設定して、「もしたら実在しそうな人物像」をつくりペルソナを実像化していきます。

■アウトプットのやり方

情報整理やペルソナ作成は、人事担当者だけで、行うのは限界があります。
いろいろな役職の方をあつめ、有志グループで行うと幅の広い情報をアウトプットすることができます。
 
その際は「ワールド・カフェ」形式で行うと良いです。
https://world-cafe.net/about/about-01/
 
ワールド・カフェは、参加メンバーの知恵や知識を、簡単かつ自然に可視化する方法論です。その場にいる人々が、特定のテーマについてどのような考えを持っているのか、短時間で収集し共有することができます。
 
アウトプットをする際には下記3点を重視するとよいでしょう。
・アイデアに対して批判・否定をしない
・変わったアイデアを歓迎する
・質より量を重要視する  
どれだけ情報を言語化できるかが、採用広報の大事な「入力」になります。

■まとめ

本稿では新卒採用広報戦略を策定するにあたり、会社の魅力をどう伝えるのかという点を解説しました。採用候補は情報整理がとても大切です。
・自社の情報を整理する
・ペルソナ設定する
を実施することをお勧めします。
 
アウトプットはいろいろな年齢や役職が集まって実施することで、幅広く、濃度の高い情報を獲得できます。
 
最後までお読み頂き有難うございます。


参考サイト
企業選択のポイントは「安定している」が43.9%。2年連続で増加/2023年卒 大学生就職意識調査
https://saponet.mynavi.jp/column/detail/20220426092852.html
 
採用ミスマッチ解消のカギは“ペルソナ設定”にあり! 人材募集時のペルソナ設定の目的と手順を徹底解説
https://saponet.mynavi.jp/column/detail/20210521221623.html
 
ペルソナ分析とは?分析方法や活用事例を紹介
https://blog.hubspot.jp/persona-analysis
 
ワールド・カフェとは
https://world-cafe.net/about/about-01/

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