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ある教師の独り言 #毎週ショートショートnote『深煎り入学式』

昔は教師は聖職者なんて言われていたものだ。

それがいつからか不祥事ばかりが取り沙汰されるようになり、生徒からも保護者からもナメられるのが当たり前になっちまった。

まぁ実際問題、生徒に手を出したり、悪戯したり、盗撮したり。最近じゃそんな話題にゃ事欠かない。

かく言う俺も、人の事をとやかく言えたもんじゃないが。高校の教師になって25年の間に、数名の生徒と関係を持った。運が悪けりゃとっくにクビになっているだろう。

国語のセンセっぽく言うなら因果応報かな。

入学式にさ、昔関係を持った生徒が保護者になって参加してやがんの。
こっちに気づいたと思ったら、「よろしくね」だってさ。しっかり顔覚えられてたよ。鳥肌立つわ。

深煎り珈琲みたいなもんで、酸味より渋さばかりが際立った入学式だぜ。苦々しいったらありゃしない。

そして今、ホテルのベッドで横に寝てる。良い気なもんだ。

「どうしたもんかな」
俺はそう呟き、目の前のブラックコーヒーを啜った。


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