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BluebeeTC | 短編小説集|雑多版

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ランダムにその日思いついた文章を投稿しています。 僕自身は書きながら深刻になりすぎたりしますが、読者さんには、サーと読み流していただいて、面白いと言っていただける方がいれば、良か… もっと読む
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#短編

Friendship.

久しぶりの投稿です。休日に友達と話しながら、思いついたフィクションです。 何気ない会話から想像した短編小説です。 良ければ一読ください。 _____ 「ここにはあなたの居場所がありますよ」と、僕は言った。 彼女には、彼女のペースと、心休まる場所があるということが言いたかった。 僕が言いたかったのは、つまりそういうことで、彼女とは「僕たち」の距離感と、「友達」ということについて、話をしていた。 「私たちって、いいお友達よね。」と、彼女は言った。 彼女は僕よりいくら

A WAY

Thank you for visiting here, my link. At first, I'm still brushing up my English. As 2nd, this is a way which I would find the one who had wanted to translate myself ... Then, well I started writing my things. No pressure, no need to se

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3,999

トンネル

今回は、久しぶりの投稿です。仕事中に袋小路に入ってしまったときに思いついたフィクションです。 良ければ一読ください。 _____

有料
100

街の廃墟

今回は、奈良への遠足が中止になって、代わりにショッピングに行ったときに思いついたフィクションです。 良ければ一読ください。 _____  街を眺めていると、ビルの一つに目が留まった。  その建物をよく見ると、壁に亀裂が走っていた。  壁に沿って、緑の植物が掛っていた。  外壁は焦げたように黒ずんでいて、いかにも古い、廃墟という感じだった。    その廃墟のような建物以外は、街は異様に整っていて、そこかしこから新築の屋根が見えた。 「それは何か緊急を要する事態が発生したと

ドライブ

今回は、週末の予定を考えていたときに思いついたフィクションです。 良ければ一読ください。 _____ 「時間にすれば大したことはない」とカズは言った。 「どこまで行くの?」と美和は聞いた。 「アウトレットに行くだけだよ。  ここから1時間かかるかな」  カズと美和はアウトレットに向かっていた。  美和が話しかけたのは高速道路に乗ったところだった。 「どこか森へ行きたい。  遠足が良いな」と美和は言った。 「遠足?  そんなの聞いていないよ。  今日はアウトレットに行

ひどく傷つけた経験。

今回は、草野球を見ていて思いついたフィクションです。 良ければ一読ください。 _____ 「私は一度、人をひどく傷つけた経験がある」と彼は言った。 ****  彼が小学生だった頃、夏休みが始まって2日目に、近所の友達と上級生と草野球をしていた時のことだった。  彼は、フルスイングをした金属バットを空振り、グリップが緩んだことで誤って真後ろにバットを放ってしまい、上級生の一人、それも女の子を深く傷つけてしまった。  怪我は深刻で、その子は救急車で病院まで運ばれた。  そし

合法民

今回は、社会学の勉強をふわーとしていて、中国の『社区』という概念について調べていた時に思いついたフィクションです。 良ければ一読ください。 _____  合法区とは、1930年代に中国の法学領域に登場した用語で、中国の学者の中ではすでに何年も前から使われているのである。  合法区地域に人々が集まった人々を、中国の法律では合法民と定ているが、合法区のコミュニティに反旗を翻す者も、政府にはまだ残っている。  中国都市組織に突如現れた合法民という考え方は日本及びアジア各国に影響

生学金。

今回は、奨学金を受けていたが、実際借金だったことに今更思い当たって書いたフィクションです。生学金なんてものがあったらいいな、と思います。 良ければ一読ください。 _____  面接は30分だけ、と言われた。  短いのか、長いのかよくわからないが、とにかく30分間は集中して話を聞かなければならない。  彼の声はとても独特だった。  鼻にかかるような声、あまり唇を動かさない、そんなしゃべり方だった。 「えーと、こんにちわ。  今回はご応募ありがとうございました。  じゃあ、ま

おやすみ。

今回は、昨日なかなか寝付けなかったので、昔のことを思い出すのに時間を使いました。それから思いついたフィクションです。 良ければ一読ください。 _____    感覚がひどく鈍っていた。  ひどく暗いところに居た。  眠ろうとしているのに、体の中で機械音が聞こえた。  何か回転している音だった。  心臓がモーターなら、この意識はコックピットで死を待つ操縦士だった。 「眠れないの?」と美和は言った。 「ダメかもしれない。  心臓の鼓動が速過ぎる」とカズは言った。  美和はカ

金縛り

今回は、雨の中電車に乗って、眠ってしまった時のことを思い出しながら書いたフィクションです。 良ければ一読ください。 _____  帰りの電車に乗っていると、突然金縛りにあった。  車窓に映る景色が急に歪んで、色が混ざり合う。  二つ前の席に座り、窓に頭を持たせかけている女性が目に入った。  彼女は耳にイアホンをして、窓の外を流れる景色を眺めていた。  僕は彼女がこちらを振り向いて、僕の異変に気づいてくれたら、と期待した。  もちろん彼女は振り返ることはなかった。  

氾濫

今回は、大雨の中、川の氾濫のニュースを見て思いついたフィクションです。 良ければ一読ください。 _____ 「時間がないの」と彼女は言った。 「何時までに行かなきゃならないの?」と僕は聞いた。  彼女は時計を見た。  それから、僕をみて『さぁ』という顔した。 「まさか、わからないの?」 「さぁ、何時だったっけ。  今ノートを確認するわ」  そう言うと彼女は自分の鞄から青いノートを取り出した。  新品に見えた。  前に使っていたノートとは別の物みたいだ。 「ノートを変えたの

工場見学。

今回は、昔知り合いと肝試し感覚で行った工場見学を思いだしながら書いたフィクションです。 良ければ一読ください。 _____  空は曇っていて、風が強い日だった。  僕らは適当に昼ご飯を食べて、午後は特に何もやることがなかった。  だから、僕らは工場に来た。  工場には以前から来てみたかったのだ。  彼女は歩きながら、猫の鳴き真似をしていた。  特徴のない日だった。  工場の床にはあちらこちらに、静電気を帯びた金属が転がっていた。  小一時間、誰もいない作業場

ガンバル君。

今回は、昔書いたガンバル君という随筆を思いだしながら書いたフィクションです。 良ければ一読ください。 _____  夏が始まって、キリは街の中を走っていくのが好きだと言った。  アツトは街の中心にある城の周囲を回って、街に入ろうと提案した。 「城の外周は好みじゃない」とキリは言った。 「ここから、走るなら城を一周した方が街へも出やすい」 「電車で駅まで行けばいいじゃないか」 「せっかく走るんだ。  城を通って、駅まで走っていこう」とアツトは言った。  キリは『ならそれ

ゼリー石鹸

今回は、いつか買った妙な石鹸について思いだしながら書いたフィクションです。 良ければ一読ください。 _____ 「どうかしている」 「何、怒っているんだい」と僕は聞いた。 「君だよ。  どうして金曜日に買ったプリンが、火曜日にまだ残っているのよ?」  出張から帰ってきた彼女は、さっそく冷蔵庫を開け放った。 「この野菜もダメになっているわ」 「まだ、きっといけるよ。  だって、それは昨日買ってきたものだもの」と僕は弁解した。 「何言ってるの?  どうかしてるわ」と彼女は