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FE名古屋~B1への軌跡~|17-18シーズン編

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シーズン振り返り

◉オフの動き

 日本人選手では、武藤修平(→福島)と河相智志(→東京Z)が移籍し、古閑雅美と小幡滋が引退。
 そして最もインパクトが大きかったのは、大塚勇人が同じB2中地区で優勝を争った西宮に移籍したことでしょう。
 その大塚勇人が抜けたPGのポジションには、特別指定選手だった成田正弘と、大塚商会(現:越谷)から移籍してきた兒玉貴通が入ることに。
 また、SG/SFには飛田浩明(←東京EX(現:横浜EX))、PFには栗野譲(←島根)を補強し、それぞれ河相智志、武藤修平が抜けた穴を埋めました。
 さらに、Bリーグの開幕前に大怪我を負った宮崎恭行がこのシーズンから復帰して選手として登録されることになりました。

 外国籍選手についてはシェリフ・ソウが残った一方で、ソロモン・アラビとロドニー・カーニーの元NBAコンビが去り、新たにジョシュ・ホーキンソンとハーバート・ヒルを迎えてのシーズン開幕となりました。

◉ソウの離脱とロドニーの帰還

 開幕戦ではB1から降格したばかりの仙台89ersにアウェイで連勝して幸先良いスタートを切ったかに見えましたが、その直後、悲報がFE名古屋を襲います。それは、シェリフ・ソウが髄膜炎によって長期の離脱を余儀なくされる、というものでした。
 これを受けてチームは、昨季もFE名古屋でプレーしたロドニー・カーニーの呼び戻しに動きます。するとロドニーは、親友であるソウのためならということで復帰を決断。晴れてFE名古屋に戻ってくることとなりました。

 急遽の加入となった影響で初めのうちはコンディションに難がありましたが、合流して1ヶ月を過ぎるころには徐々に本領を発揮。それに伴ってチームの成績も上向き、最初の10戦(1~10試合目)は5勝5敗でしたが、続く10戦(11~20試合目)を8勝2敗と勝ち越すことに成功します。

◉上位を目指して外国籍選手を入替え

 ロドニーがチームに馴染んでようやく自分たちのペースをつかみ始めたFE名古屋でしたが、それでも熊本ヴォルターズや茨城ロボッツなど、上位争いのライバルとなりそうな相手に勝利できないもどかしい時期が続くと、フロントはチームにメスを入れることを決意します。

 年末年始のリーグ中断期間に、ハーバート・ヒルとの契約を解除し、B1の島根スサノオマジックを契約解除となっていたギャレット・スタツを獲得。
 これが功を奏し、チームはさらに調子を上げます。スタツ自身も、得点、リバウンド、アシストの全てでヒルを上回る成績を見せ、フロントの決断が間違いではなかったことを証明しました。

◉驚異の粘りを見せた終盤戦

 しかし、一難去ってまた一難となるのがこの年のFE名古屋。
 スタツとロドニーが相次いで負傷してなかなか外国籍選手が3人揃わず勝ったり負けたりが続く中、4/15(日)の茨城ロボッツ戦の敗戦でついに中地区首位の座をその茨城ロボッツに明け渡してしまいます。

 ただ、FE名古屋はここから驚異の粘りを見せました。そこからの7戦を全勝で終えて茨城ロボッツにプレッシャーを掛け、中地区優勝の行方は茨城ロボッツの最終戦の結果次第となります。
 一足先にホームでのシーズン最終戦を終えたFE名古屋の選手たちは、そのままファンが一緒に会場で茨城ロボッツの最終戦の結果を見守ることに。そしてその最終戦、茨城ロボッツが敗れて中地区優勝がFE名古屋の下に転がり込んでくると、会場は歓喜の輪に包まれました。

◉初のB2プレーオフ進出も手痛い結果に

 プレーオフセミファイナル(準決勝)の相手はライジングゼファー福岡。
 Game1の前半はFE名古屋が4点のリードを作って折り返すも、第3Qには福岡の小林大祐に14得点を許して一気に逆転。宮崎恭行の3Pなどで何とか再逆転して第4Qを迎えますが、序盤からファウルがかさんでFTから多くの得点を許してしまい、そのまま福岡に押し切られる形の敗戦となりました。
 そして続くGame2では、序盤から福岡のエリック・ジェイコブセンに走られて点差を広げられると、最後までその点差を詰められず。FE名古屋は熊本ヴォルターズとの3位決定戦に回ることになりました。

 3位決定戦のGame1は最後の1秒までもつれる展開。第4Qの残り1分の時点で6点ビハインドだったFE名古屋は、杉本慶と福澤晃平の連続3Pで残り6秒で同点に追いつくことに成功します。しかし、最後の熊本のオフェンスで小林慎太郎に上手くファウルを誘われてFTを与えてしまうと、そのFT2本をしっかり決められて万事休す。

 逆にGame2では、残り4分27秒の時点でFE名古屋が76-67と9点をリードする展開でした。このまま逃げ切って勝敗をタイにしたいところでしたが、そこから試合終了までの間にFE名古屋はたったの2点しか積み上げることができず、熊本には18点を許して大逆転勝利を献上してしまいます。

 こうして、FE名古屋にとって初となったB2プレーオフは、0勝4敗という手痛い結果で終わることとなりました。

チーム成績

 平均得点はリーグ2位、オフェンシブレーティング(オフェンス100回あたりの得点)はリーグ1位という堂々たる成績。FG成功率と3P成功率は何れもリーグ1位で、質の高いオフェンスを構築することができていたと思います。
 一方でディフェンスに関する成績はどれもリーグの平均以下で、ファウルの多さも目立ちました。特にガード陣について、前年よりもディフェンスの強度を上げようという意図は見られつつも、その日調子が良い選手に限って気持ちが入りすぎてしまい、不用意なファウルでベンチに下がらざるを得なくなるという試合が多かった印象でした。

その他のTopics

◉川辺泰三AC加入

 阿部良太ACの退任を受けて、このシーズンから川辺泰三ACがチームに加入。ファンクラブのイベントなどでも自ら場を盛り上げてくれる姿が印象的で、試合後の「勝ったどー」の掛け声は一部のファンの間でお決まりのフレーズになりました。

◉宮崎恭行の復帰

 JBL2時代にMVPを3度も受賞した男がFE名古屋に帰ってきました。
 Bリーグ開幕前の2015年11月に、一度に膝蓋腱断裂、前十字靭帯断裂、半月板損傷、内側側副靱帯損傷という字面だけでも震え上がるような大怪我をして一時は選手生命の危機に陥りましたが、不屈の意志で2年にわたるリハビリに励み、2018年の2月についに公式戦に復帰しました。その後の活躍は皆さんご存知の通りです。

◉栗野譲&神津祥平、引退

 栗野譲はbjリーグ初年度のドラフト1位指名選手で、その後JBL、NBL、Bリーグと活躍の場を移しながら15年にわたってプレーした大ベテラン。FE名古屋でプレーしたのはこの1年のみでしたが、リバウンドやスクリーンなど献身的なプレーでチームに貢献する姿は若手や中堅の選手たちの良い見本となっていました。
 来季(22-23シーズン)はコーチ兼通訳として島根スサノオマジックとの契約が決まっています。

 神津祥平はFE名古屋一筋で7年間プレーし、JBL2時代にはルーキーオブザイヤーとベスト5にも輝いた選手です。Bリーグ初年度にはキャプテンも務め、日本人選手の得点源として活躍しました。
 31歳と年齢的には早い引退だっただけに、ファンからは驚きの声が多かった印象でした。

勝手に選ぶシーズンMVP

 福澤晃平

 3P成功率44.5%でこのシーズンのB2の3P王。また、現所属の茨城ロボッツでは「タフショットマスター」として賞賛されていますが、この頃から既にその片鱗を見せていました。
 177cmと比較的小柄ながらスペースの作り方が上手く、相手のビッグマンのタイミングをずらしたショットを量産。一試合平均12.1得点と、日本人選手ではB2全体4位の好成績を残しました。

印象に残った試合

 vs茨城ロボッツ(2018/3/11) 

 インサイドの柱であるギャレット・スタツに加え神津祥平も欠場し、さらにはジョシュ・ホーキンソンもコンディションが万全ではないという苦しいチーム状況の中で、ロドニー・カーニーが躍動して中地区首位を争う直接のライバルに勝利した試合です。
 この日のロドニーは1人だけ次元が違うといった活躍ぶりで、同点で迎えた第4Q残り2分の場面から1人で5得点を記録し、FE名古屋に勝利をもたらしました。ハイライト映像すら残っていないのが本当にもったいない。試合終了後にはMVPの発表前からロドニーコールが巻き起こり、HCや選手もそれに乗ってコールをするほど満場一致の受賞でした。
 また、数字の上ではロドニーほどのインパクトはありませんでしたが、ジョシュも体調不良ながら攻守の切り替えの場面では誰よりも早くリングに向かって走り、相手のディフェンスを引き付けてチームに貢献してくれました。

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