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Monthly Report(10月)|別冊EAGLE通信

まえがき

 普段Twitterなどで発信しているEAGLE通信は新聞の号外感覚でFE名古屋の近況を紹介することを目指していますが、今回の『Monthly Report』ではデータ(スタッツ)に着目してFE名古屋について語りたいと思います。
 スタッツの解釈の仕方は人それぞれなので、同じスタッツを見ても同じ結論や推測に至るとは限りません。私はこう思う、などあればぜひコメントいただけますと幸いです。

注)紹介するスタッツ(データ)はBリーグ公式HPから独自に取得したものであり、取得タイミングの関係で現在の公式スタッツとはズレがある可能性があります。

オフェンス

 まずはオフェンスから。
 最初に紹介したいのは「速攻での得点の多さ」です。

 FE名古屋の速攻での得点は1試合あたり「15.1点」で、リーグ平均の「11.6点」を上回りB1全体5位となっています。

 堅守速攻は昨季からFE名古屋の武器の1つでしたが、ここまではB1の舞台でも十分に通用している印象です。ゴール下にドンと構えるオールドタイプなビッグマンをロスターに加えず、エヴァンスルークやジョナサン・ウィリアムズなど運動量が豊富な現代型のビッグマンを揃えた効果が出ているかもしれません。

 また、高い位置からディフェンスを仕掛け、スティールからの速攻に繋げる場面も多い印象です。FE名古屋の場合、ジェレミー・ジョーンズ(スティールB1全体4位)とアンドリュー・ランダル(同8位)の2人がいずれも相手のガードにプレッシャーを掛けられるのが強みですね。

 一方で、「速攻以外での得点」には課題が残ります。

 速攻以外での得点は1試合あたり「59.2点」でリーグ平均の「67.0点」を大きく下回りB1全体最下位となっています。

 速攻での得点が多いため、そもそも速攻以外でのオフェンスの機会が少ないという理由もあるとは思いますが、それにしてもこの数字は課題と言わざるを得ません。
 実際に試合を見ていても、ハーフコートオフェンスで相手を崩しきれずに苦し紛れの3Pでオフェンスを終えるという場面が散見されます。チームの3P成功率が昨季の「34.3%」から「29.2%」まで落ちているのはその影響も大きいと思います。

 また、ハーフコートオフェンスでの苦労は「チーム全体のアシスト数」にも表れているかもしれません。

 チーム全体のアシスト数は昨季の「23.0本」から「17.1本」にまで急落。
 そもそものシュート成功数(FG成功数)が「30.9本」から「27.1本」に減っていることを差し引いても、アシストからの得点の割合は明らかに減っており、思うようなボールムーブを実現できていないことが見て取れます。

 10月のうちはアンドリュー・ランダルの個人技に助けられた試合もありましたが、相手との相性もあれば本人の好不調の波もあると思うので、その個人技が抑えられたときに打つ手がなくなってしまわないように、ハーフコートでのオフェンスについては改善を急ぎたいところです。

ディフェンス

 続いてはディフェンス。
 今季のFE名古屋は高さとパワーでゴール下を制圧するタイプのビッグマンはおらず、平均身長でもB1では低い方であるため、開幕前からインサイド(特にペイントエリア内)のディフェンスについては心配する声が多かった印象です。

 しかし、結論から言うとここまではしっかりとペイントエリアを守れていると思います。

 「ペイントエリア内で打たれたシュートの割合」B1全体で2番目に多いのは、平均身長の低いFE名古屋に対して相手がペイントエリア内で優位を取ろうとしている証拠といえるかもしれません。
 ただ、今のところはゴール下でなすすべなくやられる場面というのはほとんど見られず、「ペイントエリア内での相手のシュート成功率」B1全体で4番目に低い「51.2%」という好成績を残しています。
 まだ富山グラウジーズのジョシュア・スミスや琉球ゴールデンキングスのジャック・クーリーのようなインサイド職人との対戦がないため、そういった選手のいるチームと対戦したときにどうなるかはまだわかりませんが、今の全員が身体を張って守るディフェンスは今後も継続していってほしいところです。

 また、インサイドの攻防という点では「リバウンド」も気になるところです。

 負けた4試合はすべてチームのリバウンド数で相手を下回るなど、特にチーム最長身のジョナサン・ウィリアムズの離脱以降はリバウンドで苦戦しているように見えます。
 しかしその内訳を見てみると、意外にもジョナサン・ウィリアムズの離脱前後でFE名古屋のリバウンド数にはほとんど変化がありません。また、対戦相手のオフェンスリバウンドについても誤差といえる範囲でしょう。

 大きく違うのは、対戦相手のディフェンスリバウンドの数です。対戦相手のディフェンスリバウンドとは、すなわちFE名古屋が外したシュートのことであり、外したシュートの数が増えるほど対戦相手のディフェンスリバウンドも増えるのは当然です。
 つまり今のFE名古屋は、リバウンド争いで苦戦しているというよりも、オフェンスでの苦戦がリバウンドの差となって表れている状態なのだと思います。実際のところ、ジョナサン・ウィリアムズの離脱前はチームのシュート成功率が「46.9%」であったのに対し、離脱後は「37.9%」にまで低下しています。

 このオフェンスの精度の低下がジョナサン・ウィリアムズの離脱によるものなのか、それとも他に原因があるのかはわかりませんが、いずれにせよ先にも述べた通りハーフコートでのオフェンスの改善は急務であるといえそうです。

 ディフェンス面で最後に紹介したいスタッツが「被チームアシスト」、つまり、相手チーム全体のアシスト数です。

 FE名古屋の被チームアシストはB1全体で2番目の少なさ。ディフェンスのローテーションを早くすることで相手に簡単なキャッチ&シュートを許さず、1回でも多くドリブルさせてシュートの精度を抑えようという意識が垣間見えます。
 それが功を奏したのか、ここまでの平均失点はB1全体で6番目に少ない数字となっています。

 しかし一方で、広島ドラゴンフライズとのGame1では相手のチームアシストをたった9本に抑えながらも、終盤にドウェイン・エヴァンスの個人技で打開されて逆転負けを喫しています。
 特に試合の終盤は、どのチームもエースにボールを集めてきますが、疲労も溜まる苦しい時間帯にどれだけディフェンスで踏ん張ることができるかにも注目ですね。

月間MVP

 最後に、独断と偏見で10月の月間MVPを選出して終わりにしたいと思います。

 10月の月間MVPは、アンドリュー・ランダル
 個人成績を見れば納得だと思います。平均得点、平均リバウンド、平均スティールの3部門でB1のトップ10入り。アシストは昨季よりも数字を落としていますが、それでもFE名古屋の中では3番目となっています。

 毎年B2では知らない人はいないレベルの大活躍を見せていながらB1でのプレー経験はほとんどなく、今季も開幕前はその実力を疑問視する声もありました。何を隠そう、僕自身もこれほどまでの成績を残すとは思っていなかったというのが正直なところです。土下座案件です。

 苦しい場面でチームを引っ張ってくれる姿はB1でも健在。これからFE名古屋もランダル自身もB1でさらに研究されて対策されてくると思いますが、それに負けず今後も活躍を続けてほしいですね!

おまけ

 Twitterで投稿したB1全クラブの「速攻での得点」「速攻以外での得点」「ペイントエリア内のディフェンス」のチーム名表記verです。
 各チームの傾向を知る参考にどうぞ!

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