見出し画像

FE名古屋〜B1への軌跡〜|19-20シーズン編

スローガン

 B United – 共に

シーズン振り返り

◉開幕前の話題

 19-20シーズンの開幕前には、B2全体にもFE名古屋にも大きな変化がありました。

 B2全体についての大きな変化は、B2プレーオフ進出チーム数の変更です。18-19シーズンまで4チームしか出場できなかったB2プレーオフは、19-20シーズンから8チームが出場できることになりました。
 この影響で、今まではまずリーグ戦でよい成績を残さなければB2優勝B1昇格をかけた舞台に進めなかったのに対し、各チームともB2プレーオフに向けてチームの状態を整える余裕がわずかに生まれることになった…はずでした。コロナさえなければ。

 一方、FE名古屋についての大きな変化はというと、渡邊竜二HCが退任して川辺泰三ACがHCに昇格したことでした。クラブの発表によれば元々は翌シーズン(20-21シーズン)から川辺泰三ACをHCに昇格させる予定だったところ、渡邊竜二HCの一身上の都合により急遽1シーズン前倒しすることになったとのこと。
 その結果、FE名古屋は専任のACを招聘することができず、選手兼ACに高村成寿を置くという形でシーズンを戦うことになりました。

◉チームスタイルの変化

 HCが変わり、バスケットのスタイルにも変化が見られたFE名古屋。目立ったところでは、オフボールスクリーンからソロモン・アラビやギャレット・スタツのポストプレーに繋げていた昨季までと異なり、オンボールスクリーンからの展開で得点機会をうかがうようになります。
 この戦術変更で最も輝きを見せたのが杉本慶でした。これまでは出場してもインサイドのビッグマンにボールを預けることが多く、そのポテンシャルを生かし切れていたとは言えませんでしたが、このシーズンからのチームスタイルの変化に伴い、ガードとしては恵まれたフィジカルを生かしたドライブやそこからのアシストが目立つようになり、みるみるうちにチームの中心選手として活躍するようになりました。

 ただ、チーム全体としてはそのスタイルの変更に戸惑っている部分も見受けられ、成績は思うように伸びていきません。特に、昨季までは苦しい時間帯にはビッグマンのポストプレーに頼っていたこともあってか、ここ一番という場面で確実に得点できるオフェンスのパターンを確立することができず、ワンポゼッション差で惜敗する試合も少なくありませんでした。

◉ローソンの離脱とオトゥーレの加入

 それでも、シーズンが中盤に差し掛かる頃には新たなスタイルにも馴染んできて、特に杉本とベンジャミン・ローソンによるピック&ロールは大事な場面で頼ることができるプレーのひとつになりつつありました。
 そんな矢先に、そのローソンが肩の脱臼という大きな怪我をしてしまい、なんとシーズン中の復帰が絶望的に。さらに不幸なことに、その怪我の直後に待ち受けていたのが東地区1位の仙台89ersと、中地区1位の信州ブレイブウォリアーズとの試合。各地区の強豪相手に外国籍選手を1人欠いた状態ではなかなか勝機を見出すことができず、あえなく4連敗となってしまいました。

 しかし、ローソンの離脱が決まってからのフロントの動きは早く、年明けのオールスターブレイクの間に、シーホース三河からクリス・オトゥーレを獲得。
 高さに見合わない速さが持ち味だったローソンから、機動力はそこそこでもゴール下での得点力に優れたオトゥーレになったことで、初めこそチーム全体にやや戸惑いが見られたものの、次第にオトゥーレの得点力はFE名古屋の強力な武器となっていきます。

◉無念のシーズン中止

 そしてシーズンも残すは20試合を切り、いよいよプレーオフに向けてどのチームもラストスパート…となったところで、新型コロナ感染拡大の影響で突如として残りのシーズンが中止に。この時の衝撃は忘れることができません。
 一時は無観客でもなんとかシーズンを最後まで催行しようとしたBリーグでしたが、関係者の中にも陽性者が出るようになり、無念のシーズン終了となりました。

 結果、このシーズンはB2プレーオフも行われず、その時点で成績上位だった信州ブレイブウォリアーズと広島ドラゴンフライズがB1に昇格、そしてB2からB3への降格はなし、という形で終了しました。

 冒頭に書いたように、このシーズンからB2プレーオフの出場チーム数が増えて、シーズンでの勝敗よりもいかにいい形でプレーオフを迎えられるか、という方向に考えがシフトしていたチームもあっただろうと察するに、こういう形でのシーズン終了は本当に残念でしたが、誰を責められるものでもなく、多くのチームが無念を抱えたまま、来季に向けて無理やり気持ちを切り替えるしかできない終わり方となりました。

その他のTopics

◉FEgirls OGコラボパフォーマンス

 このシーズン、FE名古屋としては初のFEgirlsのOGコラボパフォーマンスがありました。
 FEgirlsはBリーグの開幕に合わせて結成されたチアパフォーマンスチームですが、メンバーの年齢層が若いこともあって入れ替えが激しいためOGの数は少なくありません。このときは現役含めて22名ものメンバーが集まりました。
 現役メンバーとOGメンバーとの衣装交換があったり、過去の演目の再演があったりと、以前から見ているファンにとっては懐かしさ溢れるパフォーマンスになりました。

チーム成績

 相変わらずオフェンスに関する成績は素晴らしく、オフェンシブレーティング(オフェンス100回あたりの得点)はリーグ2位の成績。平均得点は昨季よりも少なくなっていますが、得点力が落ちたというよりかは、オフェンスをしっかり組み立てる意識が高まり、やや試合全体がペースダウンしたことが原因でしょう。
 ディフェンスに関する成績も悪くなく、昨季と比較するとスティールとブロックが増えました。これに関しては、長身ながら機動力も備えたベンジャミン・ローソンの存在が大きかったと思います。
 ただしローソンの場合、高さはあるもののゴール下のパワー比べでは相手のビッグマンに苦戦する姿も目立ちました。その辺りは、むしろクリス・オトゥーレに代わってからの方がバランスよく守れていたかもしれません。

勝手に選ぶシーズンMVP

 ジョシュ・ホーキンソン

 このシーズンは欠場どころかファウルアウトすら1試合もなく、常にコートの上でチームを引っ張ってくれました。
 数字的には18-19シーズンと同程度の成績で、それだけでも十分にMVPに値するのですが、プレーの内容的にはさらに幅を広げていたと思います。特に、ボールマンにピックをかけた後にダイブ(リングに向かって走り込む)でもなくポップ(3Pラインの外に広がる)でもなく、フリースローライン周辺でボールを受けてからの展開が非常に上手くなった印象でした。
 シーズン途中にもう一人の外国籍選手がローソンからタイプの異なるオトゥーレになってもチームが崩壊せずにまとまれたのは、ホーキンソンが内に外にとオールラウンドに活躍してくれたおかげも大きかったと思います。

印象に残った試合

 vs信州(2019/11/2,3)

 「杉本無双」となったこの2試合。
 2試合を通じてオフェンスで果敢に仕掛け、ドライブあり3Pありアシストありの大活躍を見せました。特にGame2の第4Qのオフェンスは圧巻で、このQだけで15得点を記録。ウェイン・マーシャルやアンソニー・マクヘンリーに対しても臆することなくドライブを仕掛け、身体を預けながら上手くスペースを作ってシュートを決める姿はまさにエースでした。
 杉本慶はこの一週前の山形ワイヴァンズ戦でも素晴らしい活躍を見せており、この辺りから名実ともにFE名古屋のエースと言える存在になった印象です。
 Game2のハイライト映像が残っていないのが本当に残念なのですが、Game1のハイライトだけでもぜひ見てみてください。

←2018-19シーズン編へ

2020-21シーズン編へ→

この記事が参加している募集

スポーツ観戦記

Bリーグ

よろしければサポートをお願いします。いただいたサポートはFE名古屋を中心にBリーグに還元します。回り回って、あなたの推しクラブ還元されるかも…?