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介護業界での1on1面談が失敗するケース~3つの失敗例と解決策~

株式会社カチカです。弊社は、介護業界の1on1面談の導入支援や定着支援をさせて頂いております。

1on1面談を取り入れてみたものの、なかなか上手く活用できないこともあります。今回はそんな「1on1面談の失敗例」についてお話しします。

1on1面談が失敗する理由

1on1面談が失敗する理由はいくつかあります。
今回は、3つご紹介させていただきます。
1つ目は、1on1面談が浸透せずに、形骸化してしまっている。2つ目は、1on1面談の質が低く、例えば、1on1面談が、上司と部下との間での会社などの愚痴の言い合いになってしまっている場合。3つ目は、過去の1on1面談からの継続性が無い場合です。
それでは、一つずつ見ていきましょう。

【1】1on1面談が浸透しない。

1on1面談を導入しようとする会社は、経営者や人事から、「来月から1on1面談を導入します。1on1面談のマニュアルは用意しました。こうしたメリットがあります。研修を●月●日に実施します。参加のほど、よろしくお願いします。」という形で導入をするケースが多いと思います。
これで1on1面談が現場に浸透する会社は、相当優秀で、我々のようなコンサルタントは必要ありません。価値観が統一できていて、経営者のメッセージを現場が受け止め実践していく風土が出来上がっている非常に素晴らしい会社だと思います。
ただし、このような会社ばかりではありません。どちらかと言えば、「また、会社が新しいことやり始めるみたいだよ、もう、現場はただでさえ忙しいんだから、仕事増やさないでくださいよ。一杯一杯ですよ…。どうせ、定着せずに、終わるんでしょ。」という会社の方が多いのではないかと思います。
1on1面談の導入を、このような形で現場が受け止めてしまった瞬間に、1on1面談は浸透しません。形骸化してしまいます。
こういう会社に、株式会社カチカがコンサルティングさせていただくとしたら、解決方法はいくつもあるんですけれども、例えば小さくスタートします。
1on1面談を導入する目的から立ち返ります。例えば、部下との間で建設的なコミュニケーションを取りたい。それも、立ち話ではなくオフィシャル感を出して取りたいというリーダーさんや管理者の方は、間違いなくいらっしゃいます。
それは、今の時代は、部下に伝えなきゃいけないことも伝えづらいし、伝えるタイミングも無いし、なんかこう業務的な話しかできてないから、本音でどういう風に思ってるかはわからないなと、不安を持ちながらマネジメントしている方もいらっしゃるんです。
こうしたリーダーや管理者からすると、1on1面談は、すごくいい方法だ!という風に思って頂けるので、1on1面談に期待をしてくれて前向きに取り組んでくれるリーダーや管理者を探して、その人と一緒にスタートしていくのがよいと思います。
そのリーダー・管理者のところで、小さい成功体験、例えば、「1on1面談を取り入れて部下のマネジメントが、以前よりもしやすくなったよー」とか、「部下の小さい不平不満を早い段階で把握できて対処できるようになったから離職率は下がったらしいよ」みたいな、事例を作ってしまう。こうした結果が出てくると、他のリーダー・管理者も興味を持ちやすくなります。やはり、会社から言われたから、コンサルタントから言われたから、という形だと、素直に受け止めてくれる方ばかりではないんですよね。
それよりも、自分と同じポジション・立場のリーダーが実践したってなると、1on1面談ってどういう方法なの?、ちょっと教えて欲しい!みたいな心理状態に、他のリーダーさんはなりますよね。
1on1面談に対して前向きではないリーダー・管理者に力を注ぐよりは、1on1面談やマネジメントに対して前向きなリーダー・管理者を見つけ、その人たちに徹底的に寄り添って、小さな成功体験を一緒に築き上げていくことからスタートしてみることをお薦めします。

【2】1on1面談の質が低い。愚痴の言い合いになってしまっている。

2つ目に、1on1面談の質が低いという課題について記載します。
これは、どういった課題かということを詳しくご説明しますと、1on1面談を会社からやるように指示がでたので、とりあえずやっていますよという状態が続いているということです。
1on1面談というのは、リーダーや管理者が、部下との間で実施する面談です。今、困っていることはないか?不安に思っていることはないか?会社に対して不満に思っていることはないか?こうしたことを、部下から聞き出し、ガス抜き的なことをすることが大事です。そして、上から目線でアドバイスをするのではなく、共感し、どうしたら良い方向に持っていけるか、上司としてサポートができるのかを、一緒に考え、次の1on1面談までの間に、少しでもいいから実践していきましょう、ということを決めることが大切になります。
やはり、不安や不満に対して向き合い改善していくことって、多くの人にとって前向きにはなれないんですよね、それに対して、勇気づける、これが上司に求められる役割の一つなんです。1on1面談で、このようなことができていないと、ガス抜きができていないので、当然、小さな不満が溜まっていきます。それが結果的に大きくなったり、取り返しのつかないところまで行ってしまったりして、結果的に離職に繋がってしまったり、大きな不満につながって、事業所やフロア全体の士気が下がってしまったりします。
これを、事前に防ぐために1on1面談というのは活用できる手法なのですが、1on1面談の質が低い場合、本来、部下が会社などの不満を言うことに対して防波堤になるべき上司が、一緒になって、会社の悪口を言っているなんてことになりかねません。
「いやー、俺も上司には言ってるんだけど、全然よくならないんだよねー、ダメだわ、この会社」などと言ってしまう。こうなると、正規職員はもちろん、パート職員にも伝播してしまいますので、この会社は、やっぱりダメなんだって、という雰囲気が充満してしまいます。
こうした質の低い1on1面談が実施されてしまっている場合に、株式会社カチカがどういった策を打つかということですが、リーダー・管理者に向けて研修を行います。できれば、複数人のリーダー、もしくは全リーダーに集まってもらうのが理想です。
今は、集合研修をしなくても、各事業所からオンラインで研修に参加してもらうことができると思いますので、リアルにこだわる必要は全くありません。
研修では、1on1面談を実施して良かったこと、困っていることについて、一人ずつ発表してもらいます。上手く1on1面談を使いこなしているリーダー・管理職と、全く上手く使いこなせていないリーダー・管理職が入り混じっているんですよね。
1on1面談を使いこなしていないリーダー・管理者は、この研修で、初めて、同じ社内に1on1面談を使いこなして上手に部下との関係性を築いている人がいるということを知るんです。
自分と同じ立場のリーダーが、1on1面談を使って、上手くマネジメントしている。確かに、自分自身を振り返ってみても、部下が色々と愚痴を言ってきたり、同僚への不満を言ってきたりしていて、それに取られる時間が少なからず発生している。
それを解決する手法が1on1面談なんだ、実際に他のリーダーが使いこなしているんだということを体感するはずなんです。これが、会社やコンサルタントが、なんで、1on1面談をやらないんですか?あなたのためですよ、という話をしたところで、納得度は高まらないんですよね、それよりも、自分と同じ会社の同じポジションのリーダーが使いこなして、成功事例がでてきているということを知ることが、最も効果的です。
実際、リーダー・管理者は、部下のマネジメントに苦労している方がほとんどだと思います。
そこに1on1面談をやることが、もっと大変になると思い込んでいるからやらないだけで、マネジメントがやりやすくなる、自分にとってプラスになる手法だということが腹落ちすれば、間違いなく前向きに取り組んでくれます。
ここを感じさせない限り、どんな研修してもうまくいかないです。
まずは、1on1面談を前向きに捉えてもらうマインドセットをすることが大切です。
このマインドセットができた段階で、1on1面談の実践練習をします。
部下との間で1on1面談をした際に、実際にでてくるようなケーススタディを行います。
介護業界のリーダーと部下との間で実施する1on1面談で出てくる不満や不平は、だいたいテーマが決まっています。同僚との人間関係に対する不満、会社への不満、利用者さんに対しての不満、上司に対しての不満、だいたいこの辺りのことですよね。
こうした不満の具体的な事例をいくつかストックしておいて、それに対して、リーダー・管理者として、どのような回答をし、部下の小さな不満を解消して、前向きに仕事に向かってもらうのかをケーススタディを通じて経験してもらいます。
研修を通じて、自分なりの回答方法を学び、実際に部下との1on1面談で試していただく、そして、次の研修で事例として他のリーダーに対して発表し、フィードバックをもらう。
このサイクルを回していくことで、少しずつ成功体験を積んで、1on1面談のスキルを高めていくことができます。

【3】1on1面談に継続性がない。

最後に、1on1面談に継続性がないという失敗例です。
実は、これは、非常に高いレベルの話なんです。と言いますのも、1on1面談が定着していないと、継続性がある・ないという話にならず、継続性がないという課題がでてこないからです。


この、1on1面談の継続性がないというのはどういうことかと言いますと、先月、1on1面談で話したこと、例えば、部下が、利用者さんとの人間関係で少し悩んでいるという話をしたとします。1on1面談の中で、部下が、わかりました、こうした声がけを意識して自分からしてみたいと思います、という形の話ができたとします。
そして、翌月の1on1面談の時に、全くその話に触れないリーダーや管理者がいるんです。
これはどういうことかと言いますと、私たちは、1on1面談は月に1回30分やって下さいとお願いをしているのですが、その時に話した内容って、1ヶ月も経つと、忘れてしまうんですよね。そうなると、翌月の1on1面談では、「最近どうですか?困っていることはありませんか?」みたいな質問をしてしまって、今、悩んでいることにフォーカスして1on1面談を進めてしまうということが起りえるんです。
そうすると、1ヶ月前、2ヶ月前に話した部下の悩みがどうなったかということには触れないことになります。
もしかすると、先月の1on1面談で話をした、利用者さんとの人間関係に対して、部下なりにがんばって行動を変えたけれども、まだ、完全には解決できていないかもしれないのに、そこに触れないと、部下も話しづらくなってしまいます。
もし、部下の方なりに解決ができていて、それを事前にリーダーとして把握していたとしても、改めて1on1面談というオフィシャルな面談の中で、「先月の1on1面談で話をした、利用者さんとの人間関係のことなんだけど・・・・」という話を振り、「●●さんが、利用者さんに対して行動を変えたことで、関係性も改善されたと思います。大変だったと思いますが、すばらしい行動でしたね。」という形で認める、賞賛する、承認する、ほめることをしてもらいたいんです。
先月の1on1面談での振り返りをしないまま次のテーマにいってしまうと、せっかく部下をほめるチャンスを逃してしまいます。
当然、毎回の1on1面談で話した内容をメモして、次の1on1面談に活かしているリーダーや管理者もいると思います。
ただし、全員が、そんなにマメなわけでもないと思いますから、会社として仕組みを作ってあげないといけないかなと思います。
例えば、1on1の履歴を残すようなシステムもあります。次の面談時に、前回の面談で話した内容、半年前の1on1面談で話した内容を簡単に振り返ることができるようになります。
ただし、そこまでの投資はできないよということであれば、Excelやスプレッドシートなどに1on1面談の結果を入力してもらうルールを作るなどをするのもいいと思います。
せっかく、上司と部下の間の時間を使って1on1面談をしているのであれば、過去からの繋がりを継続的に見ていく、その中で、成長や改善した点を認めたり賞賛したりする、逆に、半年前から話していることが変わってなくない?という𠮟咤激励に使うこともできるようになると思います

今回は、介護業界での1on1面談が失敗するケースということで、
下記の3つのテーマについて書いてみました。
【1】1on1面談が浸透しない。
【2】1on1面談の質が低い。愚痴の言い合いになってしまっている。
【3】1on1面談に継続性がない。

自分の会社が、どのフェーズなのかによっても対応方法が変わってきますので、ぜひ、参考にしていただければと思います。


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