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他者と働く─「わかりあえなさ」から始める組織論

要点は下記の2つについて、特に組織の中でどのように対応していくのかということかなと思った。そのための対話のプロセスを事例をもとに解説しているとても読みやすい本である。

ハイフェッツたちの適応課題には4つのタイプ(対立型、回避型、ギャップ型、抑圧型)あり、適応課題に対応するためには自分と相手のナラティブの違いに気づき、自分のナラティブを脇に置き、対話により新しい関係性を構築する。

マルティン・フーバーの人間同士の関係性の分類から相手を私とそれという道具的な関係と観るのではなく、私とあなたという固有の関係として人間同士の関係性を築く。

私もCAEの専門家としてクライアントに専門的な言葉の暴力を行ってしまわぬよう、自分のナラティブに気づき、相手のナラティブとの溝を観察し、適切に橋を架けるようにしている。

しかし、具体的に相手や自分のナラティブをどのように認知し、脇に置くのかということは書かれていない。相手のナラティブに気づくことや、自分のナラティブを認知するということは言われたらわかることだと思う。しかしいざやろうとすると、相手のナラティブに気づくことはおろか、自分のナラティブもわからないのではないかと思う。また、たとえ自分のナラティブに気づけたとしてもそれを一旦脇に置き相手のナラティブに耳を傾けることもこれまた難しいことではないかと思う。いわゆる言うは易く行うは難しではないかと思う。本書にはこれをどのようにトレーニングし、できるようになるかは記載されていないが、多くの人がこのスキル獲得方法を求めているのではないかと思った。

多分すでに相手との関係の中で自分のナラティブに気づける人は既にこの本のことは実践しているのではないかと思う。私も、言葉は違えど、相手との関係の中で今ここの自分の感情に気づき相手の観ている現実は何かを常に探るようにしている。これは、この本でいうところの自分のナラティブに気づきそれをわきに置き相手のナラティブとの溝を探すということになる。まだまだ探求中ではあるものの、私はこのスキルをTグループとその継続的なトレーニングにより獲得した。一つのスキル獲得の方法として参考にされたい。

※Tグループについては別記事を参照のこと




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