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めざめ。

秋風が冷たくなると
赤くなるほっぺを消したくて。

初めて、意識してお化粧をした時の記憶など。。。

瑞々しい若い肌に
母のファンデーションをこっそりと塗ってみたら、
鏡の中の私がお人形さんのように見えて
ハッとする瞬間があった。

小学校高学年の頃の生意気な私は、
ファンデーションだけでなく
口紅も塗ってみた。

子どもではあるが、
小さな子供がやる塗り絵のようなものではなく、
自分自身が美しく見えるよう
計算された薄化粧をそれなりしていたと思う。
でも、選んだ口紅の色はピンクではなく
赤だったかな。。。

母にバレないよう、
使った痕跡を残さぬよう、
化粧品をたくさん使いすぎないよう、
丁寧に、細心の注意を払って。

何か物寂しさを感じていた。

早めにやってきた思春期だったかもしれない。

鏡台の前で、化粧をした自分の顔を
右から左から
上目遣い下目遣いで
笑ったり微笑んだりたそがれてみたりと、
まじまじと見つめる自分。

別人になったつもりで
いつもよりも少しおしゃれをして、
出掛けるとしても所詮は犬の散歩。
日が傾きかけた土手道を犬のペースで歩く横を
学生服を着た中高生たちが通り過ぎる。

時折、視線を感じるが、
たぶん誰も私のお化粧には気がつかない。

二人連れの自転車が馬鹿笑いしながら通り過ぎたと思ったら、
急に静かになった。

視線の方向がこちらに向かっていることを
横目に感じて少し身を固くすると、
少し離れた場所の会話が聴こえてきた。

どうした?

あの子、めっちゃ可愛い。

マジで?

マジでタイプ。

アレ小学生やろ?

でもホンマ可愛かったわ。

うわー、ロリコンやー!

おい、シッ!…行くぞ。

再び遠ざかっていく自転車の2人。

…聞こえないフリですました横顔を向けつつ
私の胸はドキドキと大きな鼓動を打っていた。

見知らぬ異性の目に留まったことが
とても嬉しいと感じた
初めての経験。

私の中に大人びた女ごころを見つけた夕暮れ。


あぶらとり紙を卒業した記念に。苦笑

#化粧 #大人への階段


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