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カフェの効用と交流屋のこれからについて

「どうして交流屋をやってみようと思ったんですか?」

お客さんからよく受ける質問である。

交流屋についてご存知ではない方もいると思うので、簡単に説明しておく。
4人限定で行われる一期一会の交流会で、普段は接点のないような職業や年代の人とお話をしてみようという会である。ファシリテーターが一人いることで話すことに苦手意識がある方でも楽しめるようになっている。ここで売られているのは商品ではなく、効用そのもので「安心して話せる他者との交流」なのだ。

詳しくは下記のnoteをご覧いただきたい。⬇︎

さて、なぜ思い立ったかというと理由はいくつかある。
そのひとつとして、日頃カフェをやりながら「カフェとは何のためにあるのだろう?」と考えたことからある考えに至ったことだ。

ひとりでカフェや珈琲屋に行く場合、「何をしに行きますか?」と問われたら、「コーヒーを飲みに」とか「ケーキを食べに」と答えが返ってくるのではないだろうか。

しかし本当にそれが目的となっている人はどのくらいの割合だろう?
私はそれが決して多くはないと思っている。

実は商品は目的ではなく、本当は「カフェで過ごして気持ちを落ち着けたい」とか「人と話すことで孤独感を癒したい」など効用の方が先にあったうえで、カフェに行こうと思う人の方が多いのではないかと感じている。(これはお店によって大きく違うだろうが)

しかし実際にカフェを利用するお客さんの目的は多様で、友達と話をするのに利用する人もいれば、PCを開いて仕事をしたいと思っている人もいる。

そんな中、「誰かと話したい」と考えている人は十分にその効用を得られない場合が多くなる。そこでひとつの効用に特化した方が、お客さんから見てもわかりやすく、邪魔されず十分に効用を得られるのではないかと思ったのだ。

例えば本屋さんに行ったとしよう。
本屋さんでどういった本を買いたいと思うかは人それぞれだ。
マンガを探している人もいれば、小説やビジネス書を探している人もいる。
それらが規則性なくバラバラに並んでいたら、探す方は大変だ。当然、ジャンルや著者などで分かれている方が見つけやすい。もっと言えば、通常の書店にないものでも専門店に行けばあるだろうと考えるはずだ。

カフェに行く人の場合、人と話したいなら「交流屋」、ぼーっとした時間を過ごしたいなら「ぼーっとする屋」のように専門店があれば通常のカフェ以上の効用が得られるし、目的から外れるリスクが少ない。

「ぼーっとする屋」についてはこちら⬇︎

そして、その場にいる人が全員同じ効用を目的としているカフェは、社会にあまり存在していない。ネットカフェやブックカフェなど環境を提供してくれるお店は存在しているが、人が積極的に関わるような専門店は聞いたことがない。
人が関わって楽しんでもらうというのは、その人の資質が大きく関わってくるからだ。

「マスターは自信があるんですね?」と言われそうだが、人と話すのは好きでも自信を持っているというほどでもない。しかし、やらないことには成長することもできないので半分は勢いでやっている。

今のところ参加してくださった方には楽しんでいただいているのではないかと思う。
なんせ、どの回も予定時間を20~30分オーバーして止まらなくなっているのだから。

今はお店の定休日にしかできないので、月に1、2回程度のペースに留まっているが、もっと認知されて常連さんが増えてくれば常設の店舗もやってみたいと思っている。
さらに人の話を聞くことが好きで、うまく話を引き出せるような人にファシリテーターとして参加してもらいたいとも考えている。
ファシリテーターごとの特色が出てくれば、「交流屋」はもっと魅力的な業態となるのではないだろうか。

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