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お役所の人と話をすると掛け合い漫才になってしまう話

お役所の方とは、いつも話が噛み合わない。
なぜ、そうなってしまうのか?

今回、京都府の募集する「多様な働き方推進事業補助金(テレワークコース)」に申請を出した。
補助金の内容を説明すると、雇用する従業員が自宅などで仕事ができるように、ノートPC等の購入費用の一部を補助してくれるというものである。
 
カフェといえどもオンラインショップや事務処理などPC業務は多々ある。
これらを主に女性スタッフのTさんに担当してもらっているのだが、当店にはノートPCがない。これを機に導入しようとなり申請の結果、採択されることになった。
 
大抵こういった補助金には、目的に沿って使用されているかのチェックのため、あとで事業実績報告書というものを提出しないといけない。
税金なので当然のことかと思う。
 
忙しい時期だったが、なんとか期日までに提出書類を揃えてメールで送ることができた。
すると、数日後に担当の方から電話があり、「修正をお願いしたい」との連絡がはいったのだ。
 
私はこういったものに一発ですんなりと通ったことがない。
 
「はいはい、そうだと思いましたよ。で、どこを直せばいいのでしょうか?」と聞いてみると、思わぬ答えが帰ってきた。
 
「従業員の方がご自宅でPCを使用している写真がありますよね?あれをもっと全体が写ったものに変えていただけませんか?」
 
これには少し説明が必要だろう。

この補助金の目的は多様な働き方というだけに、職場に行く必要がない仕事であれば、自宅でやりましょうということである。
なので、実際に家でPCをしている様子を写真に撮って添付しなければいけなかった。
 
これは事業実績報告書を作成する段階で、私もTさんもどうやって撮るのか疑問に思ったところだ。
なぜなら、彼女は一人暮らしである。自分がPCの入力作業をしていたら、両手がふさがり写真など撮れない。
仕方がないので、片手をPCのキーボードの上に置き、反対の手で手元の写真を撮って送ったのだ。
すでにこの時点で、とてもPC作業をしているようには写らないのだが、何とこれを全身と部屋が写るように撮ってほしいというのである。
 
「あの、一人暮らしですよ?自分で自分が仕事をしている写真をどうやって撮影しろとおっしゃるのですか?」
「みなさん自撮りで撮っていただいています。」
 
PCをバックにカメラ目線で自撮りする様子が想像された。これのどこが仕事風景といえるのだろう?
 
「待ってください、女性ですよ?プライベートな空間が写ってしまうし、そもそも誰が見てるかも分からないものに顔や体を写したくないじゃないですか?」
「では、PC作業をしているところを後ろから撮ってください」
 
この人はウチのスタッフをタコかイカとでも思っているのだろうか?
PC作業をしながら、どうやったら後ろ姿を自撮りできるというのだ。
 
お役所の方は2つの矛盾に気づいていない。
一つは自分で自分の仕事をしているところを自然に写真に収めることはできない。
やろうとしても、「仕事をしているフリの写真」になる。
これはイメージ写真というものだ。そんなのでよければ、フリー素材でも構わないだろう。
本当に仕事をしている姿を撮ろうと思えば、本人に内緒で隠しカメラでも仕掛けておくほかない。
 
もう一つは、この「仕事をしているフリの写真」は手元だけでは、『本当にやっているかわからない』という判断で、全身の写真であれば、『確かにやっている』という判断になるところだ。
この意味不明の基準は一体どこからくるのだろうか?
 
この担当の方も自分で言って、おかしいとは感じているようだ。
ただ、「そのように決まっていまして」と申し訳なさそうにしている。
 
上層部にはよほど頭の切れる方がおられるようだ。

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