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連歌女子会

2年前の梅雨真っただ中のある日、ご近所の友人達と4人で「連歌」をしました。
連歌とは、複数人で集まって、和歌の上の句「五・七・五」と下の句「七・七」を別の人が詠み、リレー形式で順番に詠みながら共同で一つの歌を作るというもの。

とはいえ、普段歌など詠む趣味もないアラフィフ4名です。
本来は細かいルールはいろいろあると思うのですが、とりあえず順番を決めて「お題」を出した人からスタートし、「五・七・五」「七・七」「五・七・五」「七・七」でワンセットの歌を作成する、という手順でやってみました。

発案者のA子に提案された時は、前の人の句を踏まえて即座に句を作るというのがとても難しそうで、やる前はかなり及び腰だった他3名ですが、意外や意外、全員たいして時間もかけずに作りました。
想定外の歌ができあがってとても面白かったです。
といっても、「歌」と言えるようなクオリティではありませんので、どうぞ笑ってみてくださいね。

4人いるので、それぞれ出し合ったお題は4つ。
それでは、どうぞ。

①お題「女子会

各々おのおのが 抱えし闇を 持ち寄りて (A子)
尽きぬ思いを 語り合う梅雨 (B子)
貴様たち いつまで女子でいる気かと (C子)
雨の合間に さえずる小鳥 (D子)

第三句担当C子の転調が素晴らしい。ジェーン・スー(『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』)ですね。
当店の本棚にもありますよ。
そしてD子の挙句(連歌の最後の句)も、ちょうど窓の外で野鳥の鳴き声がずっと聞こえていたので秀逸。
そうか、小鳥たちに、そんなこと言われてたんだ、我々。


②お題「更年期

アラフィフの 寄る年波に 更年期 (B子)
もまれもまれて ぐるぐるぐるり (C子)
はりきゅう できるかぎりの 自己メンテ (D子)
あらがう 流れる 私次第 (A子)

お題の「更年期」をそのまま句に入れてしまったことをB子はかなり後悔していましたが、発句(最初の句)の「波」が各句で比喩的具体的に表現されていて素晴らしいと思いました。
わたくし、ホットフラッシュが襲ってくるたびに、夫に「コウネンさん」と呼ばれます。
更年期、人それぞれですがともに乗り切りましょう。

③お題「café nakazumi」(当店の名称です)

高原の 涼やかな風 心地良く (C子)
散歩途中の 立ち寄りコーヒー (D子)
薫り立つ 湯気の向こうに 見える女性ひと (A子)
天使か悪魔か 見る人による (B子)

第三句で挑戦的なトスを上げて、挙句担当をプレッシャーに陥れるA子。
上手いスパイクが打てるかどうか、アンカーは責任重大です。
最後の「見る人による」は、「知る人ぞ知る」でもいいかもね、という推敲もし合ったりして楽しい。
後でこの歌を見たわたしの夫は、「『湯気』はホットフラッシュの蒸気?」と指摘。
うわーそうなるとこれは完全に更年期の悪魔ですね。怖い。


④お題「アリ

梅雨時に 嬉しくない客 こんにちは (D子)
数の論理で 勝敗決まる (A子)
群れるのが 好きなんですね 弱虫め (B子)
行列の先 砂糖か 毒か (C子)

この季節、家に進入するアリ達に悩まされる山暮らしの我々は、アリに対する敵意丸出し。
持ち帰らせるタイプの良く効く殺蟻剤の話をしていたので、最後の「砂糖か毒か」に繋がるというワケ。
一人行動が多く、人の多い場所が苦手で行列に並ぶこともない我々4人の、集団に対する揶揄とも取れるような。


初めてやってみた連歌もどきですが、作句中は文字数を指折り数えたりして悩みつつも、お題に沿った内容で、前後の流れを考えて、限られた文字数に意味を込めてバトンタッチ、という作業はなかなか面白いものですね。
縛りがある中で4人で一つのものを作る、というのも新鮮です。
思いもしなかった方向に歌が流れていくので、それが醍醐味なのでしょう。

「歌は歌でも、飛沫は飛ばないからカラオケの代わりにいいよね」なんて言いながら楽しんだ、2年前の女子会でした。

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