見出し画像

過去の『ひきだし』から見つかるもの

週に一回は、新しいこと(お菓子づくり)にチャレンジしようと思っている。
(とはいえ、新しいお菓子お作りはどうしても閉店後になるので、お店のことで忙しくて残業が続くと、新しいお菓子作りに挑戦できない日々が続いたりする)

それが『商品になる / ならない』は別のこととして、『色々と作れるようになる』というのは(主に老後の暮らしにおいて)大事なことだと思っている。
(なんの後ろ盾も保証もない老後なので、せめて歳をとってもお金になりうる『技術』を今のうちに習得しておくことが、何よりの保険だと思う)

最近は、マカロンにチャレンジしている。


お店を始めて数年した頃、世間的にマカロンブームがあった。
(多分、2005年に日本に『ピエール・エルメ』が出店した頃だと思う)

その時に自分も作ってみよう、と思って、レシピ本を何冊か買って何度もチャレンジしたが、何度チャレンジしてもうまくできなくて、諦めてしまったことがある。
(レシピ本はせっかく買ったので、そのまま保管していた。)

そのとき以来、私にとってマカロンは『苦手なお菓子』になった。

しかし、最近、やっぱりチャレンジしてみよう、という気になって再度チャレンジしてみた。

「作れないクラシック菓子があるのは、やっぱり悔しい」

という思いが湧いてきて、商品化できるかどうかは別として、やはり一度くらい、納得のいくレベルでマカロンを仕上げてみたい、ちゃんと作れることを実感できるまでやり遂げてみたい、と思うようになった。
(一つ前の投稿に書いた、先人達が作り上げてきた『製菓の地図』の未知の部分をとりあえず埋めてみよう、と思ったからだ)

マカロン作り、もしかしたらいけるかも?と思ったきっかけは、今年に入ってから『タルト・オ・シトロン』という、レモンを使ったタルトを作ったことだ。

このタルトは仕上げに『イタリアンメレンゲ』というメレンゲを作ってそれをトッピングして完成なのだが、自分の中でその時『イタリアンメレンゲを習得した』という実感を得た。
(それまでイタリアンメレンゲを使う機会がほとんどなく、メレンゲを作るにしてもフレンチメレンゲで事足りてたので...)

『タルト・オ・シトロン』(レモンのタルト)
仕上げにイタリアンメレンゲを乗せ、バーナーで炙る。


マカロンを初めて挑戦した時もフレンチメレンゲで作ってて、それでうまくいかなかずに諦めてたが、イタリアンメレンゲのメソッドによるマカロン作りの方が、もしかしたら技法的には自分には合ってるかも?と思い、先日、イタリアンメレンゲでマカロンにチャレンジしてみた。

すると、一発目で思ったよりもうまくできて、お?これはいけるかも!という実感が湧いてきた。

その後数日、お店が超忙がしくて、マカロンを練習する時間も取れないくらい残業続きの日々だったが、数日前、久々に作ってみたら、1回目よりも精度が高く作ることができた。


抹茶のマカロン



先述した通り、マカロンを再チャレンジするきっかけになったのは『タルト・オ・シトロン』を作ったからだが、そもそもこの『タルト・オ・シトロン』を作ってみよう、と思ったのも、友人から大量のレモンをいただいたからで、さあ、レモンをどうしようか、と思って作ってみたのがきっかけだった。

大量のレモンをいただいた→レモンのタルトを作ってみた→その時に作ってみたイタリアンメレンゲの技法が自分にはとても合っているのではないかと思った→習得したイタリアンメレンゲの技法でマカロンを作ってみた→一発目でうまくいった、

という流れ。


ある技法の習得の経験が、違う技法の応用へと繋がる....

だから製菓は、新しい技法を試すことや、その技法を過去に作ってみたお菓子への応用を繰り返すことが大事なのだと思う。

レシピ本もまた、ちゃんととっておくことが大事。
(もっと大事なのは、時々レシピ本を開くこと。)

レシピ本を買った当初は「こんな難しいスイーツ、無理!てゆーか何書いてあるかわからん!」とか思っていたものでも、数年後には作れるようになってたり、理解できるようになってたりする。


私の好きな言葉に『禍福はあざなえる縄の如し』という言葉と、『知行合一』という言葉とがある。

私はその2つを合わせて『知行はあざなえる縄の如し』という言葉を勝手に自分の座右の銘としている。

過去の知見が今の行動原理になり、今の行動が新たな知見を得るきっかけとなる。

縒り合わさった過去の経験と知識が一本の縄になっていく。

お菓子作りもまさに過去の知識の蓄積と実践と応用….果てしなきその繰り返しなのだと思う。



cafe Scale
『お店のこと。』お店のインフォメーションはコチラ↓

カフェスケールの日替わりメニューのお知らせや連絡先は以下からご覧ください。

インスタグラム
cafe ScaleのInstagram → https://www.instagram.com/cafe_scale/
(ランチメニューを『ストーリー機能』でお知らせ)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?