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パンと蜜をめしあがれ

お店を始めて15年が経った頃、県内のラジオ番組に出演した。

5分ほど出演して告知する、とかではなく30分番組で丸々ゲストとしてお話するというものだった。

15年間のお店のことを話してくれればいい、ということで、いつもお世話になっている方からの依頼だったので出演させていただいた。

その30分番組の中で流す曲を2曲、好きに選んでもいい、ということだったので、収録のその場でその2曲を考えることになった。

ラジオの収録に行く車の中で聞いていた曲がたまたま山崎まさよしだったので、頭の中が山崎まさよしの曲になっていたので、1つめは彼の代表曲の『セロリ』を選んだ。

2つめは、クラムボンの『シカゴ』という曲をお願いした。

クラムボンは学生の時に好きになって、地元に戻ってカフェを始めてからもよく聞いていた。

ラジオでのお話が「カフェを始めた頃」のことだったので、カフェを始めた2002年の時あたりによく聞いていたクラムボンをリクエストした。

カフェでその時にリアルタイムに聞いている音楽はそのまま、『お店のコンセプト』に直結しているように思う。

デタミネーションズを聞いている時はデタミネーションズの曲が似合うお店に、
エゴラッピンを聞いている時はエゴラッピンの曲が似合うお店に、
フィッシュマンズを聞いている時はフィッシュマンズの曲が似合うお店に、
折坂裕太を聞いている時は折坂裕太の曲が似合うお店に、
クラムボンを聞いている時はクラムボンの曲が似合うお店に

したいという意識が働いているのだと思う。

今回のタイトルの『パンと蜜をめしあがれ』は、クラムボンの2ndシングル。

この曲を聞いてクラムボンのファンになった。

発売からもう25年が経とうとしているけど、今でもこの曲が大好きだ。



『流行するお菓子』というものがある。

マリトッツォ、タピオカ、カヌレ、マカロンなど。

その一方で、流行り廃りなどもなく、安定して人気のスイーツというものもある。

プリン、ドーナツ、シュークリームなど。

それらは『定番』といわれる。

前にも書いたけど、私が目指すのは『バズる』とか『ブームになる』お菓子を作ることではなく、『定番になる』『名物になる』お菓子を作ること。

考えてみればわかることだけど、マリトッツォもカヌレもマカロンもプリンもドーナツもシュークリームも、今まで食べたことのない未知のスイーツではなく、どれもこれも古くは古代ローマ時代から、少なくとも17世紀には誕生している。

そこから何百年後にそのお菓子がブームになる背景には、そのお菓子そのものの魅力ではなく(←”そのお菓子そのものの魅力はいわずもがな”、という意味)、今の時代は『それが流行るように仕掛けている人がいる』ということ。

何かを流行らせようと仕掛けている人は、それがブームになるために広告をうつ。

それがブームになるまでそれに投資し、それがブームの頂点に達した時にその関連事業を全て売却する。

何かがブームになる、というのは、それを仕掛けている側からすればそれは『株』のようなもので、それが高値で売れるようになるまでそれに投資して、その価値を上げている。

目新しいお菓子がブームになるのではない。
知られていないお菓子をブームになるだけなのだ。
(ブームになっているお菓子は大抵昔からある、でも日本では知られていないクラシックなお菓子ばかり。)




先日、『サヴァラン』というお菓子を作ってみた。


サヴァランは、ブリオッシュ(パンの一種)生地をラム酒を効かせたシロップに漬け込んだもの。

普通はサヴァランの生地の上に生クリームを絞って完成だが、カフェで食べる醍醐味を味わうために上にアイスクリームを乗せてみた。

サヴァランでないと味わえない独特の味と食感….アイスクリームを合間って悪魔的な美味しさだった。


ブリオッシュ生地をフォークとナイフで切り分けて口に運ぶと、ブリオッシュ生地からラム酒シロップがジュワッと口の中に広がる、まさに『パンと蜜をめしあがれ』なお菓子だと思う。


最近作ることにハマっているお菓子に、『ガトーバスク』がある。

ガトーバスクは、カスタードクリームをクッキー生地で包んで焼いたもの。
イチゴのガトーバスク
洋梨のガトーバスク
ダークチェリーのガトーバスク



サヴァランもガトーバスクも、伝統的なフランスのお菓子で、目新しいお菓子ではない。

見た目も地味(いわゆる『地味菓子』)

でも、どちらもめちゃめちゃ美味しい。

そしてこういうクラシックなお菓子がカフェスケールには合っていると思う。

流行りを追い求めない。
きらびやかな派手さを追い求めない。
映えるとかバズるとかを追い求めない。

穏やかな音楽をバックに、ゆっくりとした時間をコーヒーとスイーツとともに味わう。

同じく、『そういうことを』を大事にしてくれる人に、スケールのお菓子を食べて欲しいと願う。


cafe Scale
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