見出し画像

にっこり笑ってフリージャズ その17


梅津和時新聞

たった3号だけですが創刊0号が1993年、1号が94年、2号が95年、年に一度の発行でした。

この創刊0号に私も原稿を頼まれまして、無茶苦茶な内容で掲載されたのがこちら 

梅津和時さんの還暦祝いコンサートを母校の仙台三高(E高)でやりますよというでっち上げ記事。この中に「某大A新聞で『六十才ぐらいで自分の音ができればいい』と、顔写真付きで暴言を吐いた」とあります。これは朝日新聞のインタビューに実際に載った発言で、なんだよ、今出している音は未完成なのか、そんなものを人に聴かせていいのかと憤慨した、というネタ。掲載日時は不明ですが、その新聞切り抜きがこちら

そんな文章を書いてしまった責任感(嘘ですよ)から、梅津和時新聞の1号と2号には梅津さんの還暦コンサートの広告を出稿しました。梅津さん本人が描いた絵を使い、アヴァンで働いてくれていたIさんが版下担当。1号と2号ではコピーが微妙に違っています(店名はアルファベットでAVANTに)

そして1999年3月に出版された、梅津和時『いつだっていいかげん』(河出書房新社)には梅津和時新聞が一部再録され、還暦コンサートの広告まで載っています。この時には私のやっていたアヴァンは廃業していましたから住所や電話番号は消されています。

さて、時は経ち梅津さんが還暦を迎えた2009年。還暦祝いのコンサートがどうなったかというと、本当に盛大に開催されたのでした。誕生日2日前の10月15日で、場所は渋谷でしたが。そのチラシがこちら

「FULL SWING! ドクトル梅津SHOW!」

楽屋落ちながらもあれだけ騒いでいましたから、私も当然このコンサートに行くと思われていました。が、親の介護などなどで結局行けず。友人たちからはさんざん責められたものです。

そのコンサートで配布されたのがこちらのパンフレット、厚めのアート紙50ページの労作です。 

編集は関島岳郎さん。年譜やディスコグラフィーの他に梅津さんの足跡をインタビューでたどっています、これが凄い。歴史に残るような貴重な証言が延々続きます。その17ページの画像がこちら

「AVANT」の店名が出てきました。この豊住芳三郎さんのグループは仙台にやってきてアヴァンでレコーディング・ライヴを2日間やりました。録音担当した地元の音響会社エンジニアが役たたずで録音失敗、テープは廃棄され幻の「Live in 仙台」となりました。

そして、上の画像を拡大すると脚注には「※129 AVANT…1972年開店の仙台のジャズ喫茶。90年代の梅津新聞に盛んに『2009年10月17日梅津和時還暦コンサート』の広告を出していたが、梅津の還暦より前に閉店になったのは残念な限り。」と書かれています。超人的な調査力の脚注ですが、AVANTの開店は1971年なのですよ、関島さん。とはいえ、こんな形であの広告も記念パンフレットの片隅に記録を留めていたのでした。

紙面の大半が冗談と面白記事、あれだけ遊んでいるパロディーだらけの新聞はあまりないと思います。しょうもない事を全力で楽しむのはとても良いことですよね。締めにはやはり梅津さんの演奏を。

梅津和時『キネマ』(1989年)から「歌舞音曲」


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?