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ピラミッドの国エジプト、それは野良猫天国

エジプトと聞いて、まず思い浮かぶのは、やはりピラミッドだろうか。カイロ近郊ギザの砂漠に並び立つ大ピラミッド3基。仰ぎ見れば神々しい気持ちになる。

でも、上の写真のように、くっきりと形を現す日はそれほど多くはない。周辺を砂漠に囲まれたカイロは、砂塵が舞う、つまりほこりっぽい街だ。

ここまで深刻なのは珍しいが、毎年4ー5月ごろには、ハムシーンという砂嵐が舞って、視界が数メートル、といった状態になってしまう。

こうした環境に慣れていない日本人は、ほこりにまみれた埃及(「エジプト」と読みます)暮らしに嫌気がさす者もいる。もっとも、すぐに慣れてしまって、室内に砂埃が積もっているのも当たり前になってしまう人もいる。

その点、猫は人間に比べてたくましい。カイロにたくさんいる野良猫たちは、砂嵐が吹き荒れる街を歩き回っている。

ひと気がなくなった深夜、住宅街の街路樹や車のボンネットの上などを軽快に飛び回っている猫たちをみかけると、この町の主人は猫なんじゃないか、と思ったりもした。

エジプトに猫がたくさんいるのは、この国では不妊手術が普及していないことが大きな理由だ。野良猫が生んだ子猫が、さらに子猫を生み、どんどん増えていく。一方で、死亡率も高く、大人になるまで生き続けられる割合はそう高くないのではと思う。

街を歩いていると、五、六匹で固まって、なすすべもなくしている子猫たちをみかけ、いたたまれなくなることも多い。子猫は、過酷な生活環境に耐えられるほど強靭ではない。交通事故、感染症、ネグレクト、あらゆる危険にさらされて、生をまっとうできない猫も多い。そんな可哀そうな子猫をたくさん目撃してきた。

それでも、人間から食べもののおこぼれをもらったりして、たくましく生きているエジプトの猫たちを見ると、健気でいじらしい、とも感じた。

エジプトは、生き物すべてが、生を全うしようと、必死に懸命にもがいている姿をみることができる国だ。ピラミッドなどの歴史遺産だけではない、この国のとても大きな魅力だ。

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