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【記録⑨】誹謗中傷ツイート「まとめ」を削除してもらう方法

インターネット上に「まとめサイト」と呼ばれるものがある。ウェブ上の情報を集約して提供されているサイトのこと。
その1つが「トゥギャッター」(togetter)で、主にツイッターのツイートを集めて一つの記事の体裁にして誰もがアップできるというものだ。


誰もがまとめ記事を作ることができるので、他人のツイートをピックアップして、いってみれば「自分に都合良く」まとめることも可能だ。だから、敵意・悪意をもってツイートをまとめ、誹謗中傷に利用することも可能になる。まとめサイトをめぐっては、これまでにも数々の問題が表出し、社会問題にもなってきている。

誹謗中傷の経緯


例として、個人的なケースをあげたい。私は「カフェバグダッド」という名前で、中東地域に関する情報発信を、ネット、リアル双方で20年近く続けている。最近、そのカフェバグダッドのツイッターでの情報発信に対する誹謗中傷が激しさを増している。きっかけは明らかに、今年1月に、中東のお菓子バクラヴァについてのガイド本(ZINE)を3人の共著で出版したことだ。

その誹謗中傷者たちは、何が気にくわなかったのか、このバクラアヴァ本の共著者のうち、私と比呂啓氏を執拗に批判、揶揄を繰り返すようになった。中傷主は、主として「中東研究者」で構成されるグループで、LINEなどのツールを使って情報を共有し、あらゆる類の難癖をツイッター上に投げつけるようになった。3月に入り、その攻撃はピークに達し、現在も続けている。その実態は、noteのこのマガジンにまとめている。今後もアップデートしていく。

ここで、この中傷グループは、中傷ツイートを「トゥギャッター」にまとめるという作業を開始する。ツイッター上に散り散りに存在している中傷ツイートが一覧できるようになるので、ネットいじめに都合がいいのだろう。

トゥギャッターのまとめ記事

ちなみにこのまとめでは、私の個人情報もさらしている。誹謗中傷に加えて、個人情報の暴露という容認できない行為にも手を染めている。

誹謗中傷される側からすると、こうしたまとめ記事は、ツイッターの外にも中傷が拡散されてしまうという点でも、許しがたい。実際、この中傷グループ(中東中傷研究会)のメンバーが、そうした拡散の狙いを公言している。

中傷をまとめた記事のリンクをツイッター上に掲載

これは非常にタチが悪い、この陰湿・悪質な行為を、どうにか防ぐことはできないか、というのが、このエントリーのテーマだ。
方法はいろいろあると思う。ここでは自分がトライした一つのやり方を記すだけだが、参考になれば幸いだ。

まとめ削除要請の実際


トゥギャッターには、利用規約がある。

ここの第6条に「禁止項目」という規定がある。「国籍・民族による差別」「暴力行為の推奨」から、「個人情報の掲載」「虚偽又は第三者の誤解を不当に招くような情報等のまとめ」などが列挙されている。誹謗中傷をめぐる問題で最も重要なのは、以下の2項目だ。

「4.トゥギャッター若しくは第三者を不当に差別し若しくは誹謗中傷し、又はトゥギャッター若しくは第三者の信用若しくは名誉、プライバシー権、パブリシティ権、肖像権、若しくはその他一切の権利を侵害する行為若しくは侵害するおそれのある行為」
「6.トゥギャッター又は第三者に対して損害又は不利益を与えるおそれのある行為」

少しあいまいではあるが、誹謗中傷や個人情報の暴露といった、私が受けている被害はこれに該当していると思われる。この第6条には、

「以下の各行為に該当するとトゥギャッターが判断した場合、トゥギャッターは、そのユーザーに対して事前の通知又は予告をすることなく該当するまとめ若しくは編集又はコメント等の削除若しくは非公開措置、本サービスの利用停止措置又は利用機能制限等の必要な措置を採ることがあります」

とあるので、私に対する中傷ツイートもトゥギャッター運営者による削除対象になるのではないかと考え、運営者に削除要請を出してみることにした。
以下、要請の手順を紹介する。

この問い合わせフォームに所定事項を記入して、送信すればいい。ただ、自分が要請するのは具体的に何なのか、はっきりさせたほうがいいので、以下の「お問い合わせの前に」をまず一読してみるのもいいかも知れない。ここからも最終的に「問い合わせ」ページにたどり着くことができる。

入り口は「問い合わせ」の画面。そこの「よくあるお問い合わせ一覧」から「利用規約に違反しているまとめを削除してほしい」を選択。

ここでは、2つの選択肢がある。「自分のツイートを削除する場合」と「削除できない形で自分に関する情報がまとめられている場合」だ。
ツイートの削除だけを求めたいなら、前者に進む。後者は、自分のツイートがスクショの形などで掲載されている場合に、まとめごとの削除を依頼する場合だ。
私の場合は、削除して欲しいまとめには、無数のツイートのスクショ画像が貼られていたので、「削除できない形で自分に関する情報がまとめられている場合」にあたると考えて、その旨を、問い合わせフォームの「内容(必須)」に記した。
それで、フォームを送信。まず「問い合わせを受け付けました」というメールがトゥギャッター側から届く。実際に削除されたのかどうかは、連絡してくれる訳ではないので、自分で削除の完了をトゥギャッター上の検索などで確認する必要はある。

削除実施の基準は?


比較的短時間で、まとめ削除要請は可能だ。運営側の削除に該当する、しないの判断が具体的にどのような線引きがなされているかは分からない。
私の場合、自身のアカウント名「カフェバグダッド」を冠した、中東中傷研究会の中心人物のまとめ7本はすべて削除された。当該まとめを開くと、以下のように「利用規約に基づき非公開」だと表示される。

まとめ1本ごとに、ひとつづつ、問い合わせフォームから削除要請をする必要があるので、結構な手間がかかる。
削除が実現したのは、誹謗中傷の程度が悪質である、とトゥギャッター側が判断したからだろう。ただ、常軌を逸した粘着ストーカー気質の誹謗中傷主は、またほかの方法で、言葉の暴力をネット上にばらまく可能性もある。実際、中傷グループの中心人物が、まさにこのnoteにアカウントを開設した。場所を変えて、中傷やヘイトスピーチを続けるつもりなのだろうか。
そもそも、まとめを削除しても、ツイッター上のツイート自体が消される訳ではないという点もある。ツイートの削除要請は、

ここが入り口になる。ツイートの消去を求めるには、さらなる作業が必要になるだろう。こうした手間がかかる作業を強いられるということに、本当に憤りを覚える。ネット誹謗中傷の悪質性をここでも実感する。

会ったこともない人物による一方的な中傷ツイートを受け続けることの精神的な苦痛は、それを受けた人しか実感できない。中傷ツイートをする側は、もちろんそうした苦しみに思いをいたすこともないのだろう。そういうことを考えると、ネット中傷・いじめを日々続けている人々の心の闇の深さにげんなりしてしまう。残念なことだが、出口のない「イタチごっこ」になることも、覚悟しないといけないのかも知れない。


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