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あの人の珈琲

今でこそ「みちみち種や」さんの豆が私の愛飲するコーヒー豆になりましたが、さかのぼること数年前、私をコーヒー好きにさせてくれた豆屋さんがありました。

2008年に今の家に越してきた当時、近くに「tutti」というコーヒー豆屋さんがありました。その頃は今ほどコーヒー好きではありませんでしたが、それまで飲んだコーヒーの中では「美味しいな」と感じて時々購入していました。

数年利用する中で久しぶりに行った「tutti」、焙煎をしていた店長さんがいつの間にかいなくなり、それまで接客をされていたシャキシャキと明るい女性が焙煎をし1人で切り盛りしていました。

その女性がタイトルに書いた『あの人』。
コーヒーマイスターの南綾子さん。

その後、テナントの関係だったか「tutti」は閉店することに。
近くで美味しいコーヒー豆が買えたのに残念だなと思っていると、少し離れた札幌市の平岸で「神楽珈琲店」と屋号を変えて南さんがお店を構えると聞きひと安心。

「神楽珈琲店」ができてからはネットで注文。行ける時はお店へ。
お店では南さんに仕事の話を聞いてもらうこともしばしば。

当時、cafeを併設した雑貨店の開業を思い巡らせていたこともあり、「実現したら南さんの豆を扱わせてほしい。」なんて話もして「その時はね。もちろん良いですよ。」とやりとりしたことも。

そんな中、いろいろ話をしたくて豆を買いに行った時、コーヒーを飲みながらと思って淹れてもらった一杯。この一杯が私をコーヒー好きにしてくれました。しっかりと豆が感じられ、初めてブラックで飲んで美味しいと感じた瞬間でした。

同じ人が焙煎した豆なのに、今まで自分で淹れていたコーヒーとは全然違う。それからのコーヒーは「飲む」から「味わう」に変わりました。

「神楽珈琲店」は自宅から意外と遠く(車で1時間ほど)ネットでの注文が主になり顔を出す機会もなかなか取れない日が続いた2016年の4月、南さんがお亡くなりになったことをお店のfacebookページで知りました。

私にとっては突然のことでしたが、実は5年もの間ガンとの闘病生活をしていたとのこと。いつもニコニコと迎えてくれていたことを今でも思い出します。

その後、「みちみち種や」のコーヒーに出会うまで、新たなコーヒー豆屋を探す日々が続いたのでした。

南さんと話していた当時は、まだディンケル小麦でパンケーキミックスを作るなんて考えてもいなかったし、今のようなお店を開くことも考えていませんでした。

cafe心麦がもうすぐ1周年を迎えるにあたって、コーヒーの美味しさを教えてくれた南さんにあらためて感謝の思いを伝えたくnoteに記しました。
「美味しいコーヒーをありがとうございました。」

私の作ったパンケーキ、南さんにも食べてもらいたかったな。



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