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初めての入店禁止令

今回は「本人に悪気はないのだが実際に大変困った実例」として、当時の日記をそのまま貼り付けます。
開業後は様々なトラブル想定は大事なんだけど、これは完全に想定外だったやつ。

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「初めての入店禁止令」~2009年マスターの日記より~

2、3週間くらい前だったかな、開店史上初の「入店禁止令」を言い渡した人がいる。

見ればすぐにホームレスの人だとわかるその人は、女性だった。 強烈な異臭以外には何の問題もない人なのだが、その異臭がやはり問題だった。 1階の3つある丸テーブルのうちの真ん中にその人は座り、 チョコレートケーキとアイスカフェオレを頼んだ。
しかしそれをほとんど口にしないまま1時間以上経過。 店内は混雑してるわけではなかったが、お客さんがゼロでもない。 そしてその充満する異臭に気付かないわけがない。

トイレに2、30分入って出てこなかったり、 飲み物は少し飲んでたが、生クリームが溶け出してるくらい時間がたっても チョコレートケーキに手をつけようともしていない。
やはりネックなのは相手が女性であるということで、 まぁこれは男女問わずではあるが、プライドまでは傷つけたくない。

2階席に会社員風の男性客2名のみとなった状況になり、オレは雑誌を読みふける彼女の隣にまず座って、そして言った。

「よく聴いてください。私はあなたのことは嫌いじゃない。 でも私は自分のお店を守っていかなくてはいけません。 このままだとお客さんは来なくなります。 チョコレートケーキはまだ一口も食べてないようなので、アイスカフェオレの値段だけで結構ですので、今日はもうお帰りください。そして今後うちの店には来ないでください。 今後もしまた来るようなことがあれば今度は「不法侵入」という罪になるんですよ。 もう一度繰り返しますが、私はあなたのことは嫌いじゃない。 でもお店を守る必要があります。よろしくお願いします。」

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