『4月になれば彼女は』ネタバレ〜kaf

観終わった後、とてもいい気分になって帰れる作品だった。
1番大きいネタバレしますのでご注意下さい。


背景が綺麗だなとぼんやり考えながら観ていたが、まさに背景がキーになる映画だった。

主人公2人が病院を歩きながら診察に近い雑談をしている。
その2人を正面から捉える形でカメラが向けられているので、登場人物が移動したら自然と背景には彼らが歩いた景色が写り込む。
現在を写しながら、過去も同時に写し出されているような画作りになっていた。

物語が進むにつれ、皆なにかを失った、あるいはこれから失うかもしれないという不安を抱えていることがわかる。
いや、失うことに対して不安を抱えているというより、変化することに恐れているような感じ。

妻と別れた夫の家には何かの大会で受賞したらしきトロフィーが並んでいたり、大量の過去の写真達が飾られていたり、何かを大事に保管しているらしき棚があったり…パッと見、過去にすがっている人なんだなと思わせるような人物描写。


景色を楽しむ映画だなと思った。
その人がどんな場所にいたか。
どこを経てどこに辿り着いたのか。
過ぎ去っていく景色。
過去は見えるけど未来は見えない。
だから不安になってしまう。
でもこの映画のラストカットは、新しい夫婦2人が歩きながら談笑する姿を背後から追いかけるように撮られていた。
前の景色はボヤけていてよくわからないけど、2人は笑いながら会話を続ける。


カップルが結婚を前に式場の見学に行ったり、諸々準備を進めるも、これまでの関係が変わることに不安を覚え失踪してしまう女性には内心「おいおい…」と思ったが…。

中島歩さんがとてもいい味を出していた。

ランニングする長澤まさみさんを見て『エルピス』を思い出した人何人くらいいたんだろ。

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