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2023年7月31日に地球は滅亡せず。その時信者は...

6月に記事にした通り、『秘密のたからばこ』という予言の書では、2023年7月に地球が滅亡することになっていた。

その根拠はノストラダムスで、恐怖の大王の正体は彗星・ブラックホール(彗星とブラックホールが同一物体という設定になっている)とされている。

彗星かつブラックホールという設定

筆者のほうは7月31日夜に「人類滅亡!?カウントダウンスペース」をやって楽しんでいたが(黒猫ドラネコさんや藤倉善郎さんも参加され大変盛り上がった)、「アンチのせいで地球が滅亡する」「時間はもう残されていない」などと強く終末を訴えていた信者たちは、外れた瞬間どうしたのだろうか。

予想通りの展開

外れた後の展開について、筆者は次のパターンを想定していた。

  1. 教祖がアカウント群を消滅させ、活動を終わらせる

  2. 「危ない危ない、もう少しで滅びるところだった」と自分達が救ったことにする

  3. 「この世界線では滅びていないが、別の世界線では滅びている」という世界線論法を持ち出す

  4. 「新しい世界が始まったのだ」と勝手に一度世界が終わったことにする

  5. 「一度世界は滅び、我々は記憶を全て植え付けられた上で作り直された」と世界5分前仮説戦法を持ち出す

  6. 「目覚めていない者たちには変わらないように見えるが、覚醒者には世界が変わったことが分かる、変わっていないように見える者達は闇の勢力によって幻を見せられている」とマトリックス戦法を繰り出す

  7. 「実は別の暦だった」「降りてきた時期が若干ずれていた」と滅亡予定を延長する

  8. 「実は予言の真意は地球の滅亡ではなく、あの事件を指していた」と予言解釈を勝手に変更する

  9. 「実は著者も本気にしていない、読者が勝手に盛り上がっただけ」と教祖が信者を切り捨てる

  10. 「予言が外れたら悪いのか!」と開き直る

この他、「世界の終わりを現実にすべくテロに走る」パターンも考えられはするが、この集団にそんな根性はないだろうと思っていたので最初から除外していた。しかし後述するように、末端信者の中には筆者に対して不穏な行動に出た者もおり(警察には相談済み)、現在はアンチに攻撃を仕掛ける程度のことは発生し得ると考えている。

さて、筆者としては10.を期待していたが、結果は予想通りの7.だった。実は7月29日時点で教祖が「実は7月末か8月頭なのだった、忘れていた」と発言し、信者の間では滅亡日が延長されていたのである。

さらには信者の間から8月18日説も飛び出し、早々に外れることが予想される「8月頭」の次の候補はこの日になると予想される。
筆者としては、延長される都度スペースやイベントを企画したいと考えている。

予言がはずれるとき

結局のところ、これらの反応は認知的不協和理論を生むこととなった「予言がはずれるとき」で見られたものと変わらない。

認知的不協和理論自体ほどには知られていないが、この理論が生まれるきっかけは、1950年代に行われた、とあるUFO宗教グループ(教義にUFOや宇宙人が登場する宗教的な団体は珍しくなく、一つのジャンルを形成している)の観察研究にあった。このグループの中心人物であるキーチ夫人は宇宙人と交信できると主張しており、メッセージの自動書記で信者を集めていた。そこには終末論が含まれるが、それは1954年12月21日に大洪水が地球を襲うが、UFOがやってきて選民を救済するというものだった(UFO宗教では典型的なパターンで、キリスト教における携挙の影響が強く見られる)。

この本のクライマックスは勿論12月21日だが、その前にUFO・宇宙人が救済のため到来することになっていたため、実は何度も予言は外れていた。その際の反応は、「今回のは演習だった、まだ時期が熟していない」と予言を延長したり、家にやってきた自称宇宙人(これはこれで奇妙だが、類似の思想を持つオカルト・スピリチュアル好きは沢山いるし、あるいは単なるいたずらだったのかもしれない)を「見た目は人間を装っているが、やはり宇宙人なのだ」と信じ込み期待する、すなわち目の前の現実を予言に近づけるよう解釈するといったものだ。

そしてやってきた12月21日、大洪水は起こらず、UFOも現れなかった。信者たちは困惑したが、やがてキーチ夫人が受信したメッセージを熱狂的に受け入れることとなった。それは「このグループが大いなる光を放っていたので、大洪水は回避された」というものだった。

予言に深くコミットした自分という認知と、それが外れたという認知の矛盾から生まれるストレスを解消するため、「自分たちが世界を救った」という解釈を採用したのである。このグループはその後、それまでの態度とはうって変わって積極的にマスコミへ接触し、メッセージを広めようとするようになった。

『秘密のたからばこ』の場合、コミットの強い信者は今も、「数日のズレがあろうと変わりはない」と活動を継続している。

ちなみに、『予言がはずれるとき』にはローカル局のニュースキャスターが「この世の終末を祝うカクテルパーティー」を企画していたと書かれており、見ている側がやることもまた昔と変わらない。

予言へのコミットが弱い場合

『予言がはずれるとき』には、グループへのコミットが弱かった場合の例も記載されている。その場合どうなるかといえば、黙ってグループを去っていた(この人はその後、予言の誤りを受け入れたことだろう)。

『秘密のたからばこ』の場合も、「どうせ再延長するし、気にするほどのレベルのものでもない」と、この本に別れを告げる反応が見られた。

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