練度と用兵 -魔界最終戦争-

 城外には漆黒の闇夜。雷鳴が響き渡り、怪鳥の群れが金切り声を上げる。いつもと変わらぬ魔界の日々。余は玉座の上でため息を吐いた。肘置きには幼子の頭骨が埋め込まれている。ゴツゴツしており座り心地は悪い。

「魔王様。本日のご予定ですが、12時から魔王アスラ様との昼食会。14時から魔王フラロウス様との定期領土戦争。16時半からランダム選出された部下の見せしめ処刑。17時から我々と契約を望む人間の書類選考。18時から~」

 秘書官の言葉に余はまたため息を吐いた。変わり映えのせぬ毎日。ところが、その時だ!

「大変です、魔王様! 人間どもが攻めてまいりました!」
「ほう、面白い。腕の立つ魔物を五体選べ」

 余はほくそ笑んだ。これは良い、少しは楽しめそうだ、と。
 だが、この時の判断を余は長く後悔することになる。我が軍門で最大の巨体を誇るサイクロプスが蜂の巣にされて倒れたことを知るのは僅かに五分後のことであった。(続く)

#逆噴射プラクティス

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