2月3日

 私達鬼が1年で1番忙しい日であり、稼ぎ時の1日だ。仕事内容は、人間の各家庭に伺い、豆を約10分程度ぶつけられるだけだ。""豆をぶつけられて痛くないのか?""と聞かれるが、私達の見た目を想像すると分かるだろうが、屈強な体をしているから痛くも痒くもない。いや、若干痒くなる時もある。
 昨今、家で豆まきをする家庭も減っている。投げた豆を片付けるのが億劫らしい。人間は強欲な輩だ。自分達の幸せを願って豆を投げ、私達を邪魔者扱いするように豆をぶつけるくせに。仲間から聞いた話だと、秋田にいる鬼達は、私達とは違い藁の服を着て家庭に突撃しているため、「藁が散らかって掃除するのが大変だから来ないでくれ!」とクレームを言われ、減っていると聞く。まぁ、弊社はオプション料金として散らかった豆を掃除するというのがあるため、それが人気となっており仕事が増えている。
 また、西方面から""恵方巻""というのがここ数年到来して、豆まきを減らしている原因となっている。聞いた話、恵方巻をどちらかの方角を向き、無言で食べ終えれば願いが叶うらしい。何とも人間は強欲だ。食欲を満たして、更に願いを叶えたいとは。恐ろしい輩だ。閻魔大王様よりも恐ろしい。
 そうこうしている内に、一軒目に着いた。ええと、""一緒に子供達と恵方巻を作ってほしい。""果たして、子供達を泣かせずに恵方巻を作れるだろうか?心配だ…。

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