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映画「カラオケ行こ!」の感想!

映画「カラオケ行こ!」を、気がつけば4回観に行ってました。

原作は元々読んでいて、最初は本当に軽い気持ちで観に行ったんですが、ここまでハマってしまうとは…。

今までどんなに面白い映画でも最高2回までしか観に行ったことが無かったので、4回目を観に行った時に、「なぜ私は同じ映画を4回も観ているんだ…。」と自分でも少し引いてしまったんですが、あまりにも心にブッ刺さりすぎてしまったので仕方ない。

以下は、この映画の大好きな箇所を箇条書きで🎬
(映画、原作(カラオケ行こ、ファミレス行こ)のネタバレ含みますし、めちゃくちゃ長い…)



・1番最初の聡実くんが合唱コンクールで歌ってた曲、「たましいのスケジュール」という合唱曲の中の「影絵」という曲らしいのですが、これとんでもない曲ですよね…!

「影が濃くなるのは太陽が強烈なせいだよ」
「暗闇が深くなるのは眩しい光のせいだよ」
「戸惑いながら覚悟している」
「だから僕死んだって天国なんかに住んだりしない」

これまんま狂児と聡実くんを表しているような曲じゃないですか…!

ナタリーの記事で今作のプロデューサーの二宮さんと大崎さんのインタビューが掲載されていましたが、やはり狂児と聡実くんの関係性を象徴するような曲なのではと語られていて、この曲を探し出して選んだのはすごいなと思いました。

てか、狂児はこの曲をどういう思いで聴いてたんですかね??
まあ、多少なりとも心を打たれたから聡実くんをカラオケに誘いに行ったんでしょうけど…


・狂児と聡実くんが出会うシーン。ここは原作とは少し違っていて階段で2人が鉢合わせするのですが、雷は反則だろ!と毎回笑ってしまう。

だって雷鳴が轟く中、落雷と共に出会うなんて…!
そんな演出もう好きに決まってるじゃん…!


・綾野剛さん演じる狂児の「よろぴく」「なりたきょうじです」の言い方!100万点!!


・狂児が歌う一番最初の「紅」。え?全然下手じゃない!!むしろ上手くない??って思ってしまったのですが、原作でも別に「終始裏声が気持ち悪い」だけで「下手」とは言われてないんですよね。


・和田くん、原作とは違ってかなり暴走気味のキャラになってたけど、中学生らしさ満載で最高。「森丘中合唱部は終わりや!!!」と「やらしー!学校でやらしー!!」は名ゼリフですよね。和田くんの聡実くんに対する感情も、合唱部を大切にしているからこそ生じるそれこそ「愛」なんじゃないかな。

でも、憧れの岡先輩が部活サボってヤクザとカラオケ行ってたなんて知ったら、ショックでぶっ倒れちゃうと思うから、君は本当のことは知らないほうがいいよ、多分…!


・「映画を観る部」の栗山くん、映画オリジナルのキャラですが、栗山くんが出てくるシーンが全部良かった。古い映画をひたすら観る部活で、なおかつビデオデッキは巻き戻し機能が壊れているから再生一方通行。和田くんに「映画」なのに「動画」だと言われて怒るところとか、スマホをいじろうとした聡実くんに「上映中はスマホ禁止やで」と言うところ、本当にこの子は映画が好きなんだなということが伝わってきて最高でした。あと、このビデオデッキを巡って後半のシャブ星人登場!のところに繋がっていくのは上手いなーと思いました。やはり野木さんの脚本はすごい。


・聡実くんがミナミ銀座を覗いたタイミングで、物陰からフラ~っと出てくる狂児、怪しさ満載で最高。やっぱりこいつヤクザなんだなって分からせられる感じ。


・狂児が聡実くんから「渡した冊子は合唱用なのでカラオケの役には立ちません」と言われるシーン、本当にショック受けてて毎回笑う。そのあとに聡実くんからなぜ紅を歌うのかと聞かれた時の、ちょっと拗ねながら言う「名曲ですよ?」も最高。

てか、最初にキャスティングが発表された時に、狂児役に綾野剛さんはイメージと違うなぁと思ったんですが、今となっては、綾野剛さん以外では、こんなに狂児を上手くやれる人はいないのではないかと思う位最高でした。

あの色気のある感じと少し影がある感じが、役とすごくマッチしていていいですよね。


・聡実くんのお母さんが新しい鶴の傘を披露するシーン。劇場で観た4回とも必ずウケていてすごい!


・祭林組のヤクザがカラオケに大集合のシーン。聡実くんが狂児の腕にしがみつくのがとてもかわいい。キティの兄貴がチャンス大城さんなのも最高。
色々あった後に狂児が聡実くんに「最後に一言なんか言うたって」って言うの、毎回「ひどい!」って思ってしまう。だってただでさえ怖い目にあってるのに、最後に一言なんて言いたくないよねぇ笑。


・ヤクザ大集合カラオケの後に、聡実くんが「もう無理です」というシーン。狂児が怖い目に遭わせてごめんなと謝るけど、何日か後には、音叉購入報告ラインと電話かけてくるの、絶対に聡実くんとの縁を切らないし、離れない感じがして怖い…!

あと聡実くんから、狂児に「カラオケ行こ」って言うくだり、言ってはいけないこと言っているような不穏さがあってぞわぞわしました。


・これはもう観た人のほとんどが言っていることですが、聡実くんが狂児におすすめの曲リストを渡したあとに、狂児が聡実くんの顔をじぃ~っと見つめてるのヤバいですよね。4回観て気づいたんですけど、聡実くんがリストの説明をするために狂児のすぐそばに座った時、狂児が少し目を見開いて驚いたような表情を一瞬するんですよね。その後、すぐにまた愛おしそうに見つめるんですけど、この時に少しは自分のことを信用してくれているのかもと分かって、驚きつつも嬉しかったんではないでしょうか。だから、そのあとにおもむろに頭撫でちゃうんでしょうね。聡実くんは小指隠してたけど…!


・「肘聡実」って何??しかも綾野剛さんのアドリブっぽい??
  綾野剛さん恐ろしい人!!


・綾野剛さんが歌う「ルビーの指環」「歩いて帰ろう」「マシマロ」「少年時代」全部上手すぎません??特に「少年時代」を歌ってる時、少し前髪が乱れて疲れている感じで色気がすごかった。Blue-rayディスクが発売されたら、特典映像でフル動画収録してほしいです。


・「和子はオカンや」「おネエちゃんに詰められたときの常套句やねん」って言われた時の、聡実くんのなんとも言えない不満顔100万点。


・ミナミ銀座でシャブ星人に遭遇するシーン。シャブ星人が漫画そのまんまで毎回笑ってしまう。


・最後のカラオケ大会に乗り込むシーン。劇中でカラオケで歌うシーンが1回も無かった聡実くんが満を持して歌いますが、ここの歌の説得力がすごかった。原作と同じく変声期で高音が上手く出ない中、地獄へ行った狂児を想いつつ、その場にいるヤクザ連中も納得させるような歌を歌わなければならない状況でもあり、かなりプレッシャーだったと思うのですが、齋藤潤さんの歌声がとても素晴らしかったです。齋藤さんご自身が、偶然にも聡実くんと同じように変声期の真っ只中であったこともあり、本当にその一瞬を切り取ったような刹那的な歌唱で感動しました。

また、紅の歌唱中に狂児との思い出が走馬灯のように流れたあと、現在の狂児が映りますが、原作を読んでいる自分としては、狂児が実は生きていたとバラすのが少し早いんじゃないかなと初見では思ってしまいました。

でも、あの何とも言えないような柔らかい表情で聡実くんを見つめる狂児がめちゃくちゃいいんですよ。

だって、合唱部の部長として3年間必死に頑張ってきて、なおかつ綺麗なソプラノが出るのが最後になるかもしれない合唱祭を投げ打って、たかだか3ヶ月くらいしか一緒にいなかったヤクザのために燃え尽きるように絶唱する姿を目の当たりにしたら、そりゃあんな顔になるし、別に恋愛的な意味ではなくても人として普通に惚れてしまうよなぁと思います。

あと、この狂児の姿が映るのが、ちょうど「お前は走り出す 何かに追われるよう 俺が見えないのか すぐそばにいるのに」と歌っている時で、歌詞とリンクしててグッときますよね。

また、最後に狂児がお守りを出しながら「これが守ってくれたわ」って言ったあとに、少し間が開いてゆっくり聡実くんに近づきながら、「聡実くんを置いて死なれへんしな…」って言うところ、人たらしの権化!って感じですごくドキドキしました…。


・原作では、カラオケ大会の後、3年後の聡実くんが高校生を卒業するシーンに飛び、空港で狂児にまた再会しますが、映画ではこの下りはカットでした。確かに現役中学生だった齋藤さんに高校生役をやらせるのは現実的ではないですし、分かるのですが、正直この下りも見たかったなぁ~ってのが本音です。

でも、エンドロール後にしっかり「聡実」の刺青を入れられてしまった狂児が映りますし、映画版としては全然満足でした。

あと、みなさんの感想を読む中で、「エンドロール後のアレはいらないのではないか」「狂児が行方知れずのまま終わったほうが良かったのではないか」という意見もありましたが、やっぱり狂児の腕に入った刺青が、その後の「ファミレス行こ」にも繋がる重要なキーポイントになっているので、映画でやってくれたのは嬉しかったです。


なんだか予想以上に長くなってしまい自分でもキモいと思いますが、頭の中でごちゃごちゃしていた感想をすべて出せたので良かったです。

今回の映画、役者さんの演技が素晴らしいのはもちろんですが、野木亜紀子さんの原作の雰囲気を保ったままの丁寧な脚本も含めて、自分の大好きな作品がこんなにも愛のある映画化をされて、とても嬉しくなってしまいました。

続編の「ファミレス行こ」もだんだんと佳境に入り、ますます見逃せないですし、引き続き作品の行方を見守っていきたいと思います。