高橋和夫

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京都・街の湧水13

43本願寺北山別院の聖水  比叡山で修業中の29歳の親鸞が、山から下りて都にある頂法寺「六角堂」に百日間参籠(さんろう)した際、登り降りの途中で心身を清めたとされる本願寺北山別院の古井戸「聖水」は、本堂裏の山から浸み出した山水をためた「閼伽井(あかい)」の水だった。 山から浸み出した水  山から浸み出した水を集めた「閼伽井」は北山・高雄山の神護寺、東山にある泉湧寺(せんにゅうじ)、泉湧寺塔頭(たっちゅう)の来迎院「独鈷(どっこ)水」、松ヶ崎山の山すそにある「桜井」、西陣の

    • 京都・街の湧水10

      34深草・瑞光寺、白龍銭洗弁財天の財運水  瑞光(ずいこう)寺は同じ深草丘陵にある茶椀子(ちゃわんこ)の井戸、深草聖天(しょうてん)・嘉祥(かしょう)寺の井戸とほぼ同じ標高にある。瑞光寺の門から続く参道を進むと白龍銭(ぜに)洗弁財天の手水場(ちょうずば)のわきに銭洗弁財天と帝釈天の小さな祠(ほこら)がある。 井筒の上に祠  2つの祠は石組みの古井戸の井筒の上に乗る。瑞光寺本堂のわきに別の古井戸があり、銭洗い手水場の水はこの3本の井戸をまとめて出しているという。  3本の

      • 京都・街の湧水9

        31伏見・「藤乃井」の水  「藤乃井」は京都市伏見区土橋町の宇治川派流「濠(濠)川」右岸にある土木建設業「藤井組」3階建てビル敷地内の一角にあった。  同社ホームページなどによると、初代の藤井虎夫氏が1956(昭和31)年にこの地で創業した。藤井組は大型の公共事業を請け負う京都府内でも大手の建設業者に発展した。「藤乃井」について質問したところ、若手社員がご親切に社史などを調べてくれた。  井戸は初代社長が「地域の人々とともに歩み、地域に根ざした愛される企業に」と願って掘っ

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