弁護士は基本的に政治意見を表明しない

意外と思われる方も多いかと思いますが、弁護士は基本的に政治意見をネットで公表しません。

なぜかというと、依頼者の中には離婚の男性もいれば女性もいるし、労働者の代理人とすることもあれば問題社員を切りたい会社の代理人をすることもあるからです。お金を借りた人の代理人をすることもあれば、お金を貸した人の代理人をすることもあります。

依頼者を労働者に限定している人、債権回収の専門の弁護士などは片方の意見を表明すればいいので、労働法の順守を叫んだり債権回収の実効性を高める政策をプッシュします。しかし、「相手がいる分野」で片方の代理人だけをする先生のほうが少なく、多くの先生はいろんな人の代理人をします。自分の意見を表明すると、反対側の立場の依頼者を取りこぼすことになりますから、政治意見を表明することは憚られるというのが多くの弁護士の感覚です。
<追記>倒産(破産、民事再生)分野では、申立人と管財人は同じ方向を向いているので意見交換は活発です。知見の共有もなされています。

刑事弁護の分野では、基本的に弁護士は被疑者・被告人の代理人をしますから、弁護人の権利の拡充を主張します。それは、職業的に弁護士内で違う立場の人がいないからです。被疑者や被告人を責めるのは検察官の役割ですから。

弁護士も増えてきました。私は10年しか弁護士をしていませんが、30年選手の先生に話を伺っても、「弁護士も昔よりかは事業者という側面は強くなったなあ」とおっしゃっていました。

政治意見を表明する弁護士は目立ちますし、職業的に被告人被疑者の権利拡充を主張する者は弁護士くらいしかいませんから、弁護士会としても意見を表明しやすいのでしょう。あと、世間の人の解釈とずれるので、注目されやすいと思います。

私自身、「弁護士って言えたらテンション上がるやん?」という理由で弁護士になった人間ですので、政治的意見をあまり持っていません。実務をしていていろいろと思うところはありますが、政治的意見に染まった目で世界を見るよりも、実務的にこういう困ったことがあるのでどうしようかという考えのほうが自然ではないかと思います。これは昔から今まで通して思う所です。

LGBT?金にならんから絡まんよ。社長の相談があればその時に備えて軽くどんなもんかは勉強しますけど、とかそういう感じです。それなら労働法とか税法をキャッチアップしたほうがいいです。

弁護士の端くれとして思うところを述べました。おそらくサイレントマジョリティーだと思います。いろいろ言う人は目立ちますから。

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