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【詩】言葉もそのように 八木重吉「素朴な琴」に寄せて(2)

光と風のゆらぎに
肌が木の葉のようにそよぐ

ゆらぎ
そよぎ
さやぎ
生まれる調べ

その調べは
身体の中から流れ出るのか
身体の中に流れ来るのか

肌が光に溶け合い
やがて
調べが風を満たすように

言葉も
そのように
生まれるものでありたい

素朴な琴      八木重吉

この明るさのなかへ
ひとつの素朴な琴をおけば
秋の美くしさに耐えかね
琴はしずかに鳴りいだすだろう

青空文庫「貧しき信徒」より


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