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【詩】新月の夜に

新月の今夜

星の林を縫って
あなたに会いに行こうと
思っていましたのに

春の涙が
こぼれおちてきました

衣と肌は
ひとつになり

手探りで進む指先は
棘に守られた新芽に触れて
血が滲みます

それでも
柔らかな苔は
素足を包み

あなたの
口づけのように
わたしを愛おしみます

何も見えず
何も聞こえず

闇は
美しい静寂となり

わたしは
あなたへと
いざなわれます


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