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歴史は繰り返す

子供の頃、我が家のダイニングには
Don‘t sayという言葉が筆記体で書かれ
食器棚のガラス戸に貼ってあった
英語をまだ勉強していなかった自分は
どういう意味なんだろう?と思ってた
最近になってふと思い出し父に聞いてみた

「あれなんだったの?」
「喋るなって意味だよ」
「え?」
「お前らが食事中きゃっきゃきゃっきゃとうるさいから」

……日本語で書けよ
というか、Don‘t sayってむしろ秘密を守れという意味で使われるんじゃ?

かと思えば、また昔に戻る
家で焼肉をやる日、
テーブルの真ん中に煙が上がっている鉄板
母が野菜の準備をしている後ろで父が仁王立ちになり

「うわっはっはっは」

突然モードに入り、子供を捕まえると

「やいてやルゥ」
「きゃー」

もうもうと煙が上がっている鉄板の上に
子豚が丸焼きでかざされるようにかざすのである
父はモードに入っているのかもしれないが、
子供は本気である。やばいぞと
父が冗談でやっているのはわかっている。しかし、おっとと手を滑らせる可能性はあるわけで、幼いながらも頭を働かせ、ダメだ暴れてはならない

「……」
「うわーはっはっはっは」

大人しくしていた
ちなみに父の名誉のために言っておくが、このギリギリのジョーク行為のために
彼の子供が怪我をしたりしたことはない

それにしても結構いっちゃってたな、お父さん
大人になった自分は時々思い出す
そんな自分にも息子が生まれ
彼がまだカタコトの言葉しか話せなかったとき

「がおー」
「きゃっきゃっ」

ベッドの奥に彼を座らせ、怪獣ごっこをしてた
この時、段階的に私のスイッチが入った
職業は俳優でもなんでもなく演劇経験もないのだが
なぜかこの時、どうせやるのならリアルになりきろうと思った
そこで子供騙しなフリをやめて
まず、イリオモテヤマネコをイメージしてやってみた

「がおー」
「きゃっきゃっ」

いけてる、いけてる私
この手を舐める仕草ものっしのっしと近づく様子も
イリオモテヤマネコみたいやん
そしてその次にさらにギアチェンジで一段階上の演技を
我が王子様に捧げようと思った
そこで咄嗟にパッとなぜか
貞子様が頭に浮かんだのである
あの、元々はホラー好きだった私が
ホラー映画を完全に断つきっかけになった
私的にはホラーオブホラーの貞子様
今でもはっきり覚えております井戸からゆっくり出てきて
こっちへと向かってくる様子のあなた様の忌々しさ
本当に才能があるのかどうか知らんが
一気にあの様子が自分に憑依し
当時は長かった髪を前に垂らし顔を隠すと
キングオブホラーの化け物が幼児に向かって襲いかかる

ズ、ザザザザッ!
あ、やべ……

すぐに我に返ったが、遅かった

「う、わあーん」
「ああ、ごめん、ごめん、お母さんだよ。ほら」
「うわぁああああん」

正真正銘の血のつながった母親が相手だというのに、マジ泣きさせてしまった
私の演技力って一体……

そしてふと、マヂで気合い入れてイタズラを仕掛けてきた昔の父親を思い出す
焼こうとしたり、切ろうとしたり、
(父の名誉のために言っておくが、この悪戯のために火傷をしたり、血を流したことはない)
本気で迫真の演技で、やばいマヂで焼かれる、或いは、切られると
スリルを通り越して怖かったがな

……同じことやってんじゃん
ガーン、ガーン、ガーン、ガーン、ガーン、ガーン……
(正直言って、かなりショックだった)

歴史は繰り返す!って歴史っていうほどのことでもないか
2024.04.03




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