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[#シロクマ文芸部]桃色しまった桜色遅いわ!

美術教室での授業とは

「桃色って 何色と何色混ぜるんだっけ」
美術の授業中 生徒のひそひそ声がする。ここは 戸倉直人が美術教師として勤める 都内の中学校、 今テーブルの上に 桃を並べ静物画を描かせている。生徒の声に反応して 直人は応えた。「いいかー 桃をよく見ろ、桃色といえど百通り お前達の色を作り出せ」
あるものは 赤を下地にその上から白を上塗りし ほんのり浮き上がらせたり 点描画のように細かく筆を動かす者もいた
「後一時間で 提出してもらうぞ かけなかったら居残りだからなー」
生徒の中に一人 桃を金色一色に塗りつぶした者がいた。直人は なぜ金色を選んだのか尋ねてみた
その生徒は極めて真面目な生徒であった
「ずっと桃を眺めていたら 何だか光り輝いて見えたんです」
そう言って 顔を赤らめた
すると 生徒の間から「ウォーー」とため息交じりの雄叫びが上がった
直人はにやりと笑い 「良い感性 してるじゃないか」とほめた
生徒の提出も終わり 一人一人の絵を眺めながら 呟いた 「桃色ってのは エロスなんだよ 中学生には十年早いよな」
そう言って テーブルの上の桃をがぶりとかじった

その様子を柱の陰からじっと見つめる人影 
ゴクリと喉を鳴らした
桃を金色に塗りつぶした生徒だった
桃は クスリと笑い頬を赤らめた様に見えた


お終い

すみません 桜色でしたね (;^_^A


お世話になっております

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