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愛は勝ったのか、そして□は角砂糖なのか

「Love wins all」
5分強という最近だと長めのMVながら、壮大なストーリーと内容の濃さ
何よりIUちゃんとテテの演技が一気に世界観に引き込んでくれる。
そしてあれこれ考察したくなる。この感覚は久しぶりだ!

初見での印象は映画「タイタニック」みたいな「悲しい愛の物語」。

舞台は何者かによって荒らされた退廃的な世界。
四角い物体から必死に逃げるふたり。

廃墟ビルに身を隠す。
謎の服の山と、かつて誰かが生活していた跡があちらこちらに。

不気味な服の山・・
今回のキーアイテム、ビデオカメラ

偶然見つけたビデオカメラを互いに向けてみると、幸せな頃が蘇る。

廃墟の中からウェディングドレスとタキシードを見つけて
写真撮ったり、結婚式のステージで歌ってはしゃいで、幸せなひととき。

しかしそれもつかの間のことだった。四角い物体に見つかってしまう。

幸せなひとときと、絶体絶命のときの対比よ・・

建物の中を必死に逃げるも行き止まり。
行き着いたのは服の山のあった部屋。もう逃げ場はなくなった・・
必死に抵抗するも叶わず・・四角い物体は二人を飲み込む。
そしてドレスとタキシードが服の山に落とされる・・

ここでIUちゃんの「愛は全てに勝つ」の歌詞が重なって涙が止まらない。
タイタニックだったらセリーヌ・ディオンのMy heart will go onのラスサビ。

タイタニックのジャックとローズは一人だけ生き残ったけど
ふたりは最後まで一緒だったから幸せなのかな・・幸せでいてほしい
・・あ、これMVだった!映画じゃなかった!もう一度見よう!

2回目を見て、主人公のふたりの設定が障害を持っていること
(片目が見えないテテ、手話を使う=聴覚障害があるIUちゃん)
ビデオカメラ越しの世界では目も見えるし、歌だって歌えること

ビデオカメラ越しの世界、右が現実の世界

ふたりのことを祝っていると思っていた結婚式のゲストは
顔の見えない黒づくめだったこと

あれ?どこかで見たことがあるような
既視感の正体はきっとこれ

そして重要なステージ「服の山」は
「Spring day」の山積みの服のシーンを思い出さずにはいられない。

服の山に埋もれたバンタンさんたち

これはただのMVでない、バンタンオマージュもあるのかな。
とにかく深い意味がありすぎる・・・
同じ事を考えた人は私のほかにもたくさんいて。山ほど出る考察。

ほっこりしたのは「四角い物体=シュチタの角砂糖」説。

初見ではもっと無機質な、金属みたいな素材のものかと思っていたけど

言われてみれば・・

角砂糖(ユンギ)に捕まったらシュチタに出演しないといけないとか。

服の山=シュチタのゲストなら長寿番組確定。


MV公開の翌日、早くも答え合わせが。監督さんからの公式説明。

肉体は消滅したけど、魂は差別や抑圧からは開放された・・

救いはあった、バッドエンドでなくてよかった、と思う一方で
監督さんが早い段階で公式説明をすることになった背景が、
「『このMVは障害者への差別では』という論争の早期収束」と知り
IUちゃんがこの曲に込めたメッセージ
「嫌悪のない世界で全ての愛が勝利し、誰も傷つくことなくこの曲の意味が伝わることを心より願っている」の実現は難しいんだな、とも思った。

ある考え方を敵視することから嫌悪が生まれる。
誰も傷つかない、嫌悪のない世界を巡る戦いはまだ終わらない。
障害者への差別、という考え方は一つの考え方にすぎない。

このMVで描かれている四角い物体は
もしかしたら完全悪ではないのかもしれない。

だって、建物や壁を壊しながら進んだほうが絶対に早いのに、
サイズに合う隙間を通って律儀に追いかけている。意外と几帳面?

隙間というよりほぼシンデレラフィット

最後のクレジットにもしっかり。

□が角砂糖じゃなくても、シュチタの角砂糖でも、
この作品が人の心に響いたのは間違いない。

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