だいぶ前にホストクラブの経営者から話を聞いたことがあった。ホストでナンバーワンになる男というのは、姉や妹に囲まれて育った女系家族が圧倒的に有利だとか。

　一方、接客で苦しむのは、一人っ子と男兄弟だけで育ったホスト。どちらも客が不機嫌になったとき、オドオドするだけでその扱いに戸惑うらしい。その点、女系家族育ちは客が不機嫌でも動じることがなく、適当にあしらうことができる。女性を理想化していないので、相手の反応を自然に受け流すことが上手なのだ。

　余裕があるし、好かれようと努力するわけでもないのでいい結果が出る。恋愛でも男が女のご機嫌を取るのは逆効果だろう。頑張るってことは、どこか悲壮感が漂う。どんな仕事でも頑張り過ぎるのは疲れが出てマイナスになるので、まずは楽しむことが大事だ。

　ただ、40年前のナンバーワンホストはタンゴやジルバなど、社交ダンスが踊れて新聞もきっちり読んでいた。楽しみながら、自分を磨くための努力もしていた。

　今のようにわざと高額な借金をさせて、女を泣かすような接客はめったに聞かなかった。やはり、時代が変わってしまったのだろうか？