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大槌とデザイン_Hiroto Kishima_2022.10

一章 目で見て。

読書の秋、食欲の秋、運動の秋、というように、何をするにも適したイメージがある季節。大槌の山を見遣るとそこそこに色づいており、空を見上げれば綺麗な鱗雲が広がっていて秋らしさを感じる毎日。そんなカラフルな秋だけれど、実は歳時記には「秋は白の季節」との記載がある。稲穂の実り、また露の反射で白く見えることからなどいくつか説があって、そういえば「白秋」という言葉もあった。僕的にはたくさんの色があり過ぎて、取り立てて目立つ色がないから白、なのではないかなと思うこともあるわけで。

晴れの日は秋の陽光にぽかぽかと温まり、曇りの日は一気に冬の気配を感じる寒さになる。その中、桃畑学園サーモンの見学へ行った。桃畑学園サーモン、名前は大槌に来た時から度々聞いていたけれどその実態は知らず、そもそも「桃畑」が地名から来ていることも初めて知った。車で駅を出発して町方とは反対方向に走ること十数分。大槌川沿いの山間の静かなところに桃畑学園サーモンの養殖場があった。あたりは山に日差しが遮られひんやりとしている。車で養殖場の近くに行くのは難しく、橋を渡り歩いて五分ほど。フェンスの奥で何かを撒いている職員の方々。中に入ると、どばどばとあふれんばかりに常に水が流れる生簀、その中にはたくさんの鮭が元気よく泳ぎ回っている。
桃畑学園サーモンの養殖場は、サーモンが普段どのように育てられ、私たちの食卓へ並ぶのかを知るためのとても重要な施設であり、さらには大槌へ観光にきてくださった方々に大槌のサーモンをアピールし、より深く大槌を知ってもらうチャンスになる。
桃畑で育ったサーモンは主に二つのルートに分かれるそうだ。一つは吉里吉里の海にある生簀に移動し「岩手大槌サーモン」になる。もう一つはそのまま桃畑養殖場に残り「桃畑学園サーモン」となる。それらを入学や卒業、進路選択などと見立てて「桃畑学園」という名前ができたそうだ。とてもユニークな発想で面白い。

餌を撒いている。水面にはたくさんの鮭。

二章 手を動かして。

大槌町役場産業振興課より、虎舞のチラシの依頼をいただいた。
11月12日土曜日、「感謝の虎舞」と題して大槌の虎舞が東京、千葉で演舞する。東日本大震災当時、大槌町は千葉県市原市をはじめたくさんのご支援をいただき、その感謝を込めて虎舞を届ける。震災の時、私は小学校高学年で教室で帰りのHRを行っていたのを覚えている。デザインを勉強し始めてからも防災のポスターやチラシを制作したことはあった。だがこうして大槌にきて、震災、虎舞のチラシを制作するとは思っても見なかったこと。

表は大槌のPR。
虎舞の迫力が伝わるように。

大槌虎舞の「遊び虎」「笹喰み」の写真は同じ地域おこし協力隊の北浦さんから提供いただいた。いろいろなイベントで写真を撮影されているので素材が豊富で、私も日々写真素材を集めておこうと思う。

11月にあるモニターツアーに向けて、R45デザインさんとの打ち合わせに参加した。私も当日、デザインの勉強も含めてモニターツアーにスタッフとして参加をする。R45デザインさんと主にツアーの撮影などで携わる。先月動画で苦い思いをした私のスキルアップになるありがたい機会である。
打ち合わせが終わって、せっかくのチャンスだと思い、佐藤さん、菅谷さんに大槌に来てから制作したチラシやポスターの添削をしていただいた。プロのデザイナーに見せるのはとんでもなく緊張する。学生時代も厳しい先生ぞろいだったけれど、それとまた違った緊張。お忙しい中、丁寧に添削をしていただき、実際にお二人が制作したチラシを見せていただきながら細かなところまで解説をしてくださる。
見えてきた課題は情報整理の甘さであった。誰に向けたチラシなのか、一番伝えたいところはどこなのか、情報は多すぎても少なすぎてもいけない、適切なものを選択する必要がある。その力が私まだまだ足りないことを改めて自覚した。また文字間のツメの甘さもご指摘いただいた。

優しく、厳しく、丁寧にアドバイスしていただいた。

細部にまでしっかりと注意して制作しようと改めて思った。

ふるさと納税という言葉は以前から知ってはいたけれど、その制度や細かいことまでは知らなかった。10月より、大槌のふるさと納税の写真加工に携わらせていただいている。12月は多くの寄付をしていただけるようで、それに向けて準備をする。そこでふるさと納税の寄付サイトに掲載する写真を加工する。
人は視覚からの情報でまず物事を判断する。味が一品の大槌の食べ物も、残念ながら写真で美味しそうに見えなければ購入してもらえない。それだけ写真は重要なものであるのだ。今回はすでに撮影していただいた写真を使って制作したが、今後新しい商品をふるさと納税に掲載する時、機会があれば撮影から携わらせていただけないかと思ったりもする。美味しそうに、綺麗に、欲しい!と思ってもらえるような商品写真を撮るにはどう工夫が必要なのか、自分の勉強のためにも。

三章 足を運んで。

ポケモンマンホールは全国各地に設置されている。
もちろん大槌にもある。
ちなみに大槌のどこにあるかご存知ですか。ぜひ町中のマンホールをしらみつぶしに探してみてください、すぐ見つかると思いますが。
私は個人的にポケモンマンホールを集めており、仙台にポケモンマンホールのためだけに行った。私の地元、さいたま市には大宮という大きなエリアがある。仙台はよく、大宮と似ている、比較されるなんて言われることが多く、いやまさに、駅の雰囲気からも似ているものを感じるが、個人的には仙台の方が都会では、などと思う。そして大宮にはポケモンマンホールが設置されていない。悲しいですね。
私のようにポケモンマンホールをきっかけに各地へ訪れる方々も多く、駅で仕事をしていると観光客の方に「ポケモンマンホールはどこにありますか」と尋ねられることが度々ある。探す楽しさもあり、大槌に訪れるきっかけになれば、それはすごいことだ。

大槌はツボツボ。岩手県応援ポケモンはイシツブテ。
仙台はジラーチ。宮城県応援ポケモンはラプラス。

あとがき

10月の寒さに驚きながら、これから長い冬がやってきそうな様子を感じさせる冷たい風にがくがくと震える毎日でした。川沿いに住んでいますし、家の寒さに閉口していたところ、なんとこたつをいただきました。これがもう暖かく、家にいる時は立ち上がることがほぼなくなりました。本当にありがとうございます。
読書の秋ということで、こたつと一体化しながら本の虫になっていたところ、ちょうど一節に「炬燵」というワードがありました。こたつは漢字で「炬燵」と書きますが、なんだか温もりを感じられないので、僕は「こたつ」とひらがなで書くことにします。

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