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【名盤伝説】 ”Pink Floyd / Wish You Were Here” 消えたDiamondに捧げるアルバム。

MASTER PIECE プログレ5大バンド、ピンク・フロイド『Wish You Were Here (邦題: 炎 - あなたがここにいてほしい)』(1975)です。

世紀のメガヒット『The Dark Side of the Moon (邦題: 狂気)』(1973)に続くアルバム。この作品が世界的なロングセラーとなり、そんな大作に続くアルバムとして、一体どんな作品になるのかと注目されました。

国内版ジャケット

当時の私にとってのフロイドは、名盤『狂気』すらまともに聞いていなくて、NHKのヤングミュージックショーで見たライブ・アット・ポンペイでの古代コロシアムで幻想的な「Echoes」(『Meddle (邦題: おせっかい) 』)(1971)を演奏していたプログレ・バンドくらいの知識しかありませんでした。ただその印象がとても強く、よく分からないけど凄いなと思っていました。周囲に年長の音楽好きな兄姉のいる知り合いはいませんでしたし、頼りの雑誌MUSIC LIFEも毎号買えるわけでもなく、音楽情報にはともかく乏しい環境でした。

収録曲
M1 Shine on You Crazy Diamond (Part 1 To 5)
M2 Welcome to the Machine
M3 Have a Cigar
M4 Wish You Were Here
M5 Shine on You Crazy Diamond (Part 6 To 9)

近所の友人がこのアルバムを購入したとのことで、さっそく遊びに行き、カセットにダビングさせてもらいました。皆んなで聴きながら、訳も分からずに「これは凄い」と聞き入っていましたね。

静かにゆったりとしたオープニングM1。とはいえどこか惹きつけるものがあります。ヘッドホンで聞きながら8:48あたりの不気味な笑い声に何度振り返ったことか・・・分かっていても、未だに条件反射してしまいます。

M4のアコギ曲はアルバム全体の箸休め。続くM5の「Shine…Part6」からのフィナーレへと続きます。

本人たちは否定しているようですが、初期の中心メンバーとして在籍していたシド・バレッドがバンドを去ったことをモチーフに作られたアルバムのようです。「Crazy Diamond」とはシドのこと。先ほどの笑い声・・・シドのソロアルバム『The Madcap Laughs (邦題: 帽子が笑う…不気味に)』(1970)を暗喩しているのかもしれません。

シドはバンド脱退後に精神障害を患い、1973年以降はほとんど活動をしていませんでした。ただこのアルバムのミキシングの最中に、変わり果てた姿で彼はスタジオを訪れたのだそうです。あまりの変貌ぶりに最初は誰も彼だと気づかなかったとのこと。ロクな会話もないままにスタジオを去り、そのまま彼が2006年に死ぬまで二度と会うことは無かったのだそうです。

このアルバムも全米・全英ともにチャート1位の大ヒットとなりました。アルバム全体のトータル感や、曲ごとのクオリティの高さは秀逸です。なによりも複雑な曲構成と、これでもかという程の演奏テクニックをグリグリと押し付けてこないところが聞きやすく・・・とはいえ深遠なメッセージが隠されている感もあり、これがフロイドの魅力なのかもしれません。

以降の『Animals』(1976)や『The Wall』(1979)になると複雑な曲も増えて、ちゃんと歌詞の意味が分からないと受け入れ辛くなる印象です。それと比べると、この『炎』はほどよい感じがします。

かつて友人宅で聞き入った思い出や、1988年の来日ステージでの超絶感動体験などを思うと、やはりこのアルバムは自分にとっても大切な一枚です。


[補足]
このアルバムのジャケットにはメインの絵柄が2種類あります。US、豪州、ニュージーランド、ブラジル盤はこちら。さすがヒプノシス制作、凝り過ぎです。

輸入盤ジャケット


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