見出し画像

【名盤伝説】 “Pages” あの頃の夢のハーモニー 至福の名盤の数々。

お気に入りのミュージシャンとその作品を紹介しています。AOR界きってのコーラス・ユニットのペイジスです。

https://en.wikipedia.org/wiki/Pages_(band)

ペイジスはリチャード・ペイジ(Vo, Bs)とスティーヴ・ジョージ(Cho, Key)を中心としたユニットです。1978年に『Pages』でデビューした時にはこの2人を含む5人編成。いなたい雰囲気ながら洗練されたサウンドで「Let it go」などを含む名盤です。

続く2作目は1978年リリースの『Future Street』。こちらは当時日本盤もリリースされます。後に主にフュージョン系のミュージシャンによりもてはやされた名曲「Who’s Right, Who’s Wrong」などが収められています。

そして1981年リリースの3枚目のアルバム『Pages』では、主に作詞を担うジョン・ラングを加えた3人組となります。そして、それまでプロデュースしていたボビー・コロンビーに加えて、ジェイ・グレイドンが多くの曲を手掛けたことで、アルバムの質感が大きく変貌し、全体に硬質なイメージのアルバムとなりました。

もともと様々なアーティストのスタジオ・ワークで注目されていたリチャードとスイティーヴでしたが、アルバムをジェイがプロデュースしたということで当時のAORファンの間で人気が急上昇。2作目はまだしも、デビュー作は日本盤がリリースされていなかったこともあり、幻の名盤としてレコードは高額取引されるようになりました。内容も良いですからね。後のAORブーム再燃で過去2作とも無事にCD化して事態は沈静化します。ただここに来てのDJアナログ盤ブームで再び高騰…個人的には、まぁ好きにしてくださいという感じです。

収録曲
M1 You Need A Hero
M2 Tell Me
M3 O.C.O.E. (Official Cat Of The Eighties)
M4 Come On Home
M5 Sesatia
M6 Only A Dreamer
M7 Automatic
M8 Fearless
M9 Midnight Angel

M1M4はボビーのプロデュース。この2曲だけ過去作のテイストを残した優しい曲調です。ドラムはいずれもジェフ・ポーカロです。

その他の曲はジェイのプロデュース。どこかスティーリー・ダンっぽいカチっとした音作りが特徴となっています。ドラムはヴィニー・カリウタとラルフ・ハンフリー、マイク・ベアード、そしてジェフも変態キメが聴けるM7で叩いています。

その他の参加ミュージシャンは、ニール・スチューベンハウス(Bs)、スティーブ・カーン(G)、ポール・ジャクソン JR (G)、もちろんジェイもギターで参加して
ソロ弾きまくっています。M8のギターソロはまさにジェイの独壇場。トム・スコット(Sax)もM4で印象的なプレイを聞かせてくれます。

いずれの楽曲もコーラス・ワークは完璧。美しいハーモニーはまさに夢のようです。

このアルバムでペイジスとしての活動は終わってしまいます。暫くはスタジオ・ワークでしか彼らの名前を見るはありませんでした。ところが突然、リチャードとスティーヴの活動再開のニュースが飛び込みます。それがMr.ミスター結成(1984)。こんな大人なサウンドを聴かせてくれたコーラス・ユニットが何故??。

まるで別のパワー・ロック・バンドに変身したものの、動くペイジスを見にMr.ミスターの来日公演に行きました。同日同時間に生中継していたFMの番組が始まるとともにステージもスタート。と、ここまでは良しとして、番組が終わる1時間でステージも終了。会場は当然のように放送には乗らない続きを期待して拍手の嵐…ところがそのまま公演も終了して、唸るようなブーイングがホールに響き渡りました。帰りがけの酒席はかなり荒れていましたねw。

そんなMr.ミスターの3枚目の『Go On …』(1987)は、収録全11曲のうち9曲が、この3枚目のメンバーによる作品ということで、曲調はMr.ミスターですが幻のペイジスの4作目かとファンの間では話題になりました。

リチャード・ペイジはMr.ミスター解散後に、映画音楽やマドンナのコンポーザーとして有名なパトリック・レナードと3rd Matineeというユニットでアルバム
『Meanwhile』を1994年に発表しますが、全然ペイジスっぽくはありません。

また1996年にはソロアルバム『Shelter me』、2009年には『Acoustic』をリリース。Mr.ミスターのヒット曲「Broken Wings」のアコースティック・バージョンを披露しています。2010年には2ndソロ『Peculiar Life』を発表するなど、それなりに活動は継続しているようですが、歌はもちろん上手いですが、ペイジスっぽさは・・・・。

2011年の『Solo Acoustic : Live atKula, Santa Monica, CA. 2011/02/20』という作品の中では、ペイジス3rdに収録されている「Midnight Angel」のアコースティック・バージョンを披露しています。このような内省的な指向は、実は彼らの求めたいものだったのかもしれません。

AORファンにとってペイジスは至福のコーラス・ユニット。あの頃の儚い夢だったということなのかもしれません。

[追補]
一夜限りのMr.ミスター再結成の記事。動くペイジスの近況が知れます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?