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【名盤伝説】 ”Wilton Felder / Inherit The Wind” もう一つのクルセイダース作品。

MASTER PIECE クルセイダースのサックス(ベース)プレイヤー、ウィルトン・フェルダーの3枚目のソロアルバム『インへリッド・ザ・ウィンド (邦題: 風の遺産)』(1978)です。

フェルダーは高校時代の音楽仲間のジョー・サンプル (Pf)、スティックス・フーパー(Drs)らと共にジャズ・クルセイダースを結成(1961)。ジャズとソウル・ミュージックのフレイバーを併せ持つ時代のクロスオーバーサウンドの先駆けとして人気を博しました。1971年にはバンド名をクルセイダースと改めて、数々のアルバムをリリースしていきますが、その一方で、フェルダーはソロ・ミュージシャンとしてもソウル系、ポップス系と幅広いスタジオ・ワークに参加しています。

1969年には初ソロアルバムをリリース。1978年には2ndソロアルバム『ウィー・オール・ハブ・ア・スター』で、その後のクルセイダース・サウンドを思わせるようなファンキーでメロウなナンバーを聞かせてくれました。そして1980年に3rdアルバムとしてこの『インへリッド…』をリリースします。印象的なイラストはフェルター自身の作。絵心も良い感じですね。

収録曲
M1 Inherit The Wind
M2 Someday We'll All Be Free
M3 Until The Morning Comes
M4 Insight
M5 L.A. Light
M6 I've Got A Secret I'm Gonna Tell

M1M2のボーカルはソウルシンガーのボビー・ウーマックを起用。よりファンク色の強い作品アルバムにするのかと思いきや、M3ではパーカッシブなラテンテイスト全開のLAフュージョンを聴かせ、M4では自身のボーカルをフューチャしたファンクナンバーを。そしてM5M6ではクルセイダースのメンバーのジョー・サンプル作によるメロディアスなナンバー持ってくるなど、実にバラエティ豊かで、自分の音楽性の全てを盛り込んだかのようなアルバムとなっています。
プロデュースはスティックス・フーパーやジョー、そしてフェルダーが楽曲ごとに担当。メンバーの皆さん、多彩な才能に溢れていますね。

個人的にはM5が超フェイバリット。後半のメジャー展開はいつ聞いてもうっとりとしてしまいます。

主な参加ミュージシャン
Bass – Abraham Laboriel
Drums – Ndugu Chancler, Ricky Lawson
Guitar – Arthur Adams, Dean Parks, Roland Bautista
Percussion – Paulinho Da Costa
Producer, Horns, Bass – Wilton Felder
Producer – 'Stix' Hooper
Producer, Synthesizer, Arranged By, Keyboards – Joe Sample

参加ミュージシャンには、スティックス・フーパーが抜けた後釜としてバンドのツアーなどに参加するンドゥグ・チャンクラーや、ラリー・カールトンパリー・フィナティが抜けた後のゲストギタリストとしてのローランド・バティスタの名前もあります。クルセイダース人脈が着々と築かれていく様が見て取れます。

ジョーのソロアルバムなどと比較すると、紹介される機会も少なくて地味な印象がありますが、本体のクルセイダースのアルバムと比較しても遜色の無い出来栄えだと思います。クルセイダースやジョーのファンの方は、是非とも押さえておいてほしいアルバムです。

フェルダーも2014年のジョーに続いて、2015年9月に75歳の生涯を閉じます。バンドのツートップを亡くしたクルセイダースは、永遠のインヘリット(遺産)になってしまいました。このアルバムもいつまでも聞き続けたいと思います。



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