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【名盤伝説】”Patti Austin / S.T.” 圧倒的な歌唱力で歌い上げるスペシャルレディ。

お気に入りのミュージシャンとその作品を紹介しています。今回はJazzボーカルの枠を超え、名将クィンシー・ジョーンズに見出されたパティ・オースティン『Patti Austin (邦題: 君はスペシャルレディ)(1983)です。

前作『Every Home Should Have One (邦題:デライトの香り)』(1981)からクィンシー率いるQwestリーベルに移籍して2作目のアルバムになります。前作のタイトル曲がアメリカの各種チャートで好成績をあげ、日本ではルイス・ジョンソンのスラップが決め手のディスコチックな「Do You Love Me」が話題になりました。

期待の2作目も、より洗練されたナイスなアルバムに仕上がっています。

コンポーザーにはクリフ・マグネス - グレン・バラッドの黄金コンビに、メロディーメーカーのデヴィッド・パック、そしてクィンシーに引けを取らない名プロデューサーのナラダ・マイケル・ウォルデンマイケル・マクドナルドの名前もあります。

参加ミュージシャンも豪華です。ドラムにはナラダ本人の他にジョン・ロビンソンも。ギターはクリフ・マグネス。キーボードにはグレック・フィリンゲインズ。ベースはネイザン・イースト。サックスにはアーニー・ワッツなど。ホーンアレンジはジェリー・ヘイと鉄板の布陣です。

収録曲の聴きどころ。先ずはリズミカルなテンポにキャッチーなテーマ曲MI「It’s Gonna Be Special」(邦題: 君はスペシャル・レディ)。JAZZ+R&Bテイストで、いわゆるアダルト・コンテンポラリー(AC)なサウンドメイクです。

よりダンサブルなロング・バージョンもあります。

続くM2は、いかにもナラダっぽいシンプルでタイトなリズムが特徴の「Rhythm of the Street」。この曲はLPリリース当初のテイクとCD化した際のとでは、エンディングが異なります。耳タコで聴いていた私は、CDを購入して部屋で流して聴きながら、さぁここでFOか・・・あれ?まだ続くぞと驚いた記憶があります。CD化にともなってこっそり別テイクが収録されることも多いので、油断なりません。

そしてアルバムの聴きどころのひとつM3「All Behind Us Now」。メロディーメイカーのデヴィッド・パック作のミディアムテンポの極上バラード。名手アーニー・ワッツの泣きのサックスも最高です。

アルバム締めのM10「Any Way You Can」もデヴィッド・パック作のスローバラード。マイケル・マクドナルドのピアノとパック本人の泣きのシンセソロが心に響きます。

このアルバムの次作『Gettin' Away With Murder (邦題: 恋人たちのモメント(1985)も佳作揃いで捨て難いです。Qwest移籍以前のCTIレーベル時代のJazzyな雰囲気がお好みの方には受け入れられないのかもしれませんが、私にはQwestの初めの3作がフェイバリットです。

JazzというよりAC (Adult Contemporary Music)という言葉の方が似合う代表的なアルバムだと思います。



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