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二次障害とは?【世界を敵視する子たち】

障害への対応をメガネに例えて考えます。

「視力の低い」障害にメガネを与える。

「ありがとう!」

視力に対する障害はなくなります。

しかし、中にはメガネを渡したとしても、床に叩きつけ壊すような心理状態の人がいます。

「視力の低い」障害にメガネを与える。

「ふざんけんな!近づくな!」

キレて反抗する人。
無気力で意欲をなくした人。

なぜ彼は人の支援に反抗するのか。
それは「二次障害」を起こしているからです。

二次障害とは何でしょうか?
近年注目されている深刻な二次障害について説明します。

【二次障害とは】

身体障害、発達障害などの生まれつきのものを一次障害と呼びます。

それに対し
特性に合わない環境で無理に適応し、精神症状の発症や不適切な行動等、二次的な問題が起きている 状態を二次障害と呼びます。

二次障害は様々な症状を表した表現です。


 「 頭が痛いから学校休みたい」
 「 お腹が痛いので、会社を休みたい」

身体に症状が出ることもあります。
また、うつ病や不安障害、 PTSD 等の心の課題も広い意味で二次障害と呼ばれます。


【二次障害が起きる要因】

二次障害はなぜ起きるのでしょうか?

もともと自分の性格や発達障害特性に合わない環境に置かれた場合、人には心理的な負荷がかかります。

(例)
 大人から厳しく注意された
 授業がわからない

多くの子供は、成長する中で、これらのストレスを乗り越え、適切な対応方法を覚えます。
トラブルを解決し成長するのです。

心理学の分野で有名な3つの心理空間があります。
・コンフォートゾーン
・ストレッチゾーン
・パニックゾーン

コンフォートゾーン(リラックス空間)
安心感があり、居心地が良いと感じる心理状態
快適なのですが、新たな学びはない

ストレッチゾーン(ファイト空間)
コンフォートゾーンから少し出た状態
ちょっと不安やストレスがあるけれど、学びもある

パニックゾーン(二次障害的空間)
許容範囲を超えて、ストレスや負荷がありすぎる状態
耐えきれずにつぶれてしまう可能性あり

エビデンスはありませんが、
発達障害の子はパニックゾーンが定型児より広いのではないでしょうか。


発達障害の子供は、適切な対応が難しかったり適応行動を学習する段階でつまずいてしまいます。

つまり、トラブルの中で、パニック経験が圧倒的に多いのです。
その結果、不登校やうつ病、 暴言暴力など状態が悪化し、二次障害となります。


【内在化と外在化】

二次障害には大きく2つの方向性があります。

内在化と外在化です。

外在化(例)
 友達に暴言暴力を行う。
 自傷行為をする。

自分の外側にエネルギーが向かうことを外在化や外交性反応と呼びます。

内在化(例)
 不登校や引きこもり
 うつ病や不安、障害、精神障害

自分の内側にエネルギーが向かう状態を内在化や内向性反応と呼びます。


一時的な障害は「先天的な」ものです。
二次的な障害は「後天的な」ものです。
後天的な障害は適切な環境と支援を行えば防げるもの。

特別支援教育は二次障害を防ぐことが大きな目的だと私は思います。
二次障害を防ぐ。
そのために、

気合、根性等の教育精神論

⭕️個々の特性に合わせた適切な理解と支援

が大切です。

学校には、通常学級から特別支援学級に移る子がいます。
しかし、通常学級での挫折体験から二次障害を起こしている子は、まず適切な支援を素直に受け入れられません。

「世界を敵」と認識しているからです。

このようなことを防ぐためにも一次障害と二次障害を分けて、
早くに個に適切な環境支援を整えるべきです。

今後も二次障害について記事にまとめていきます。



【参考】
(とてもおすすめ!前田智行先生の本です)

こども発達支援研究会
(とても勉強になる研究会です!)


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