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Vol.28#挑め!Leading Article/1ペニー硬貨廃止検討

その日のLeading Articleから解釈の決め手となった語彙を記録していきます。身につけば読む事がどんどん”楽”になります。

1ペニー硬貨の廃止が検討されています。根強い反対意見の論拠と現状とは。驚くべき?英国の小銭事情です。


◎今日のLeading Article:小銭に賢く…

1p and 2p pieces provide flexibility in pricing, and support for wobbly tables
“Sir, Some may dispute the ‘rounding-up’, or down, of the halfpenny coin, but let not its existence be imperilled,” wrote Mrs Priscilla Glover of Winchester to this newspaper in December 1983. “It is indispensable for levelling off pendulum clocks.” It was a surprisingly common defence of the unloved decimal coin, ridiculed as tiny and useless, but it fell on deaf ears. The following year Nigel Lawson, Margaret Thatcher’s chancellor, sounded the halfpenny’s death knell. Most people, he said, would be glad to be rid of the “tiddler”.
Forty years on, is the 1p piece doomed to the same fate? Over the past decade, several chancellors have tried and failed to consign the penny to the cash register in the sky. The Isle of Man, which mints its own currency, is poised to phase out the penny piece. Now, The Economist makes the same case, arguing that purchasing power of coppers is so negligible that people cannot be bothered to pick them up off the pavement, and that whatever their remaining uses (coin pusher machines in arcades, hem weights for curtains, cures for wobbly tables and teaching aides for children) actual spending is not one.

□解釈のポイント■■■


①fell on deaf ears /聞き入れられない、無視される

提案や意見が無視されるという意味です。耳の不自由な人の耳に落ちていくというと差別用語として問題になりそうですが、そういう言い回しです。耳の不自由な人についての無難な言い方にhearing-impairedというのがあります。
振り子時計を水平に保つのに不可欠だった半ペニー硬貨ですが、それは存続の理由にならなかったという流れです。

②sound the death knell/引導を渡す

death knellは人が死んだ時、教会で鳴らす弔いの鐘。soundは動詞の形で何かの音を鳴らすという使われ方ですね。引導を渡すと訳しましたが、引導は仏教で人が死んだ際にあげるお経だそうです。位置付けとしては似ているかなと思います。

サッチャー政権時に半ペニー硬貨を廃止されて、1/100ポンドの価値である1ペニーのみとなったということですね。

③ phase out/段階的に廃止する

段階的に何かをやめていくという意味で、逆はphase inです。

マン島とはアイルランドとの間に浮かぶ島なのですが、かつてはマン島領主を名乗る貴族スタンリー家により統治された独立地域でした。英国王室がその支配権を購入して以来英国が実質的に統治しています。しかしながら鋳造権は独立したものがありマンクポンドという通貨が流通しています。そこでも1ペニー硬貨は段階的に廃止される動きになっているよという議論です。

■試訳

1ペニー、2ペニー銅貨は価格設定の柔軟性を保つ。そして、ぐらつくテーブルも支えてくれる

”半ペニー硬貨の切り上げ、あるいは切り下げが議論されることがありますが、なくならないようにお願いいたします。振り子時計の水平を保つのに必須だからです”

1983年の12月にWinchester に住むPriscilla Gloverが本紙に投稿した内容である。この訴えは人々に愛されず、ちっぽけで使い道がないとされた十進法硬貨を擁護する驚くほど一般的な理由であったものの、聞き入れられることはなかった。Margaret Thatcher の蔵相であったNigel Lawsonは半ペニー硬貨に引導を渡した。”半ペニー硬貨を歓迎する人がほとんどである”としている。

それから40年の月日が流れ1ペニー硬貨も同じ運命を辿るのだろうか。ここ10年何人もの財務大臣が1ペニー硬貨を廃止しようとして失敗してきた。マン島では自前で鋳造を行っているが、そこでも1ペニー硬貨を廃止しようとしている、経済学者達も同じ主張をしている。銅貨の購買力は無視できる程度のものであり、歩道に落ちていてもわざわざ拾い上げる人さえいないとしている。そして、いかに用途はまだあるとはいえ、その中に実際の消費といえるものはない。たとえば、ショッピングモールのコイン落としゲーム台、カーテンのへりにつける重し、テーブルのぐらつき対策、子供に数を教えるときの教材くらいものだ。

◇一言コメント:

タイトルのPenny wiseは諺に由来します。Penny wise, pound foolish(小銭に賢く大金に愚か)。

引用した部分では1ペニー硬貨の用途はあんまり説得力のあるものがないとしていますが、後半は反対意見も紹介しています。
例えば、1ペニーを無くすと1.99£のような値付けができなくなり2£になってしまうのでインフレになるとのこと。実際に半ペニー硬貨が廃止された際にはインフレ率が0.5%プラスとなったとしています。

またレジの脇に置いているような募金箱でも問題が出てきます。1ペニーなら気軽に募金できますが、1ポンドとなると、、、ハードルが上がってやらない人が増えそうです。


☆2024年1月30日の出来事

・イランのドローンによる米軍への攻撃。イラン政府はアメリカを中東から排除狙う。
・LGBT擁護団体stonewallの主張は行き過ぎ。NHSの文書でwomanをemployeeに置き換え求めるなど。

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