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世界の果てで英語を磨く


ここは世界の果て、山形県

僕が住んでいるのは山形県。360度を山に囲まれ、視界の圧倒的な比率を山々の緑色が占める。ぐいぐいと高齢化が進行し、人口も着々と減少している。ここで普通に生活していく中で英語は必要ない、控えめに言って全く必要ない。

まさかのUターン

そんな世界の果て山形で僕は暮らしている。

生まれこそ山形県だが、大学進学で上京。そのまま東京の会社に就職した。
外国語学部出身であったからなのか、営業や製造では使いようがないと思われたのか、カスタマーサポートという部署に配属されて、長く取説や各種マニュアルの企画、翻訳の仕事をしていた。

製品は油圧ショベル。日本メーカーのプレゼンスが強い建機という業界柄、外国の企業との関わりは多く英語を磨く機会には事欠かなかった。
メーカーには製品に同梱する取扱説明書だけでなく、修理手順や問題があった場合の対策手順、新製品の宣伝等さまざまな文書が存在する。それらを社内の技術者から情報を引き出し出版物に落とし込むのが仕事だった。
押し寄せる新機種、新機能への対応を一つまた一つとこなしていく。
その中で海外販社の社員やOEM先の同業者から自分が書いたものに対してフィードバックをもらう機会も多く、これは相当勉強になった。真っ赤になって修正される自分のドラフトと向き合い必死で英語と格闘していた。
また訴訟も珍しくない業界である。自分がコケたら製品がコケるという製品を市場に出す際の緊張感もあった。まさに真剣勝負の日々だった。

しかし、転機は突然訪れる。35歳での山形へのUターンだ。
事情は色々だが早々に東北に帰るという事が必要事項となり、転職活動が進み、気がつけば僕は生まれ故郷の山形で働いていた。

耳に聞こえるのは懐かしい山形弁の響きで、僕の仕事から英語や海外という要素は消えていた。今まで当たり前にあった英語を磨ける環境はわずか3ヶ月の間に跡形もなく消え去った。

環境と語学

一般的に仕事や生活で英語を使えば、英語が身に付くという。これは本当かもしれない。使わなければ生きていけない環境に身を置くと人は必死に言語を習得していく。この事はメーカーに勤務していると実感する所だ。それまで国内でしか仕事をした事がないサービスマン達が海外市場の担当になると一念発起しメキメキと上達していく。その考え方からすると、環境が変化してしまった僕は語学の習得について絶望しなければならないのだろうか?

”英語を使う”という事を広く捉える

絶望する必要はない。少なくとも僕はそう考えている。
というかそう考えたい、いやそう考えなきゃ負けだと思っている。

仕事や生活に使う事だけが英語を使うという事ではないんだという精神がなければ語学習得は環境が全てという事になってしまう。

実際仕事や生活が人間の全てではない。
仕事や生活に次いで、時には仕事や生活よりも大きな熱意を以って時事への興味や趣味に時間を費やしている。そういう熱意こそ環境に匹敵するモチベーションの源泉となるのだ。

例えばワインやウィスキーについて情報を漁ったり、こだわりを表現する時。その熱意は仕事や生活とどれほど変わりがあるだろうか。これも仕事や生活と何ら変わりはなく”英語を使う”という事だ。
そこに環境に依らない語学学習の道がひらけていると思う。

The Timesを読み続ける 

ここからは少し一般論からは離れていく。どうすれば、その興味や趣味を英語を磨く事に繋げていけるのかということについて自分の実践から書いてみる。

僕が仕事以外で取り組んでいる英語媒体は、ここ25年変わらない。それは新聞だ。The Timesという英国の新聞を電子版で購読し始めたのが16歳の時だが、それ以来長きにわたってThe Timesは僕の生活の一部であった。新聞雑誌は数多あり、様々試してみたが、やはりこの新聞が良いと思って安からぬ購読料を毎月捧げている。

この新聞は迷う事なく他人に推す事ができる理由は数あるが、何と言ってもカバー範囲の広さだ。趣味から時事、ビジネスに至るまであらゆる興味関心を受け止めてくれる事だ。何せ新聞なのだから。守備範囲外はエロ記事くらいじゃないだろうか。経済や政治に偏らず文化や趣味のボリュームも大きい。

更に、日々更新される2本から3本の社説も味がある。
その日のニュースから国内政治、海外情勢、経済、文化をバランスよく選定し明確に意見を表明する。社説を読むと山形にいながらロンドンの世論を感じる事ができる。週間で発行される雑誌とも違い日々の出来事や記念日、行事を通じて英国という文化がかなり身近なものとなる、、、錯覚を楽しめる。

当然読むのに要求される知識も語彙も易しいものばかりとは限らない。
しかし、そこに挑んでいく事で英国という国とその文化に喰らいついて、理解しようという熱意が生まれる。この熱量があれば僻地で英語を磨く事もできると僕は思っている。

田んぼの真ん中で

僕の生活は朝のランニングから始まる。誰も歩いていない田んぼを淡々と走っていく。朝日が昇り、見渡す限りの田園を目の当たりにすると、この場所はやはり世界で一番ロンドンから遠いと感じる。それは距離的な事ばかりが理由ではない。

それでも、僕の中で英国人の日常や世界観を理解してみたいという知的好奇心が枯れることはない。現地の人のようにすっと理解できる力量は、まだない。そして、それを他の人に適切に翻訳して説明するような境地にもない。しかし、これからもそれを目指していきたいという気持ちは確かだ。

その目標に近づく方法の一つとして僕はNoteを始めた。自分と同じように環境が味方にならない場所で英語を学ぶ人に届けばと思う。また英語に興味がない人にも外国の新聞が何を書いているのかを知ることにはメリットがある。物事を異なる角度から捉える事ができるからだ。

田んぼの真ん中でロンドンを想え!
そう声を出して叫んでも平気なほど人と出会う事は稀な場所を今日も走り、子供達に食事を出して仕事に出かけてゆくわけだ。

そんな英語磨きん中で出会った面白い話をシェアしています。タイトルのとおり誰かに話したくなるわけですが、その場がなく。note記事として配信します。面白かった英単語ベスト3についてもトリビア的に解説しますので知らずにボキャビルにもなるおまけ付きです。


24/2/25 目標設定をしました。


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