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久しぶりの夫婦2人だけのクリスマスイブ

「かんぱーい!」
お酒の飲めない2人はジンジャーエールで乾杯。
夫と2人でクリスマスイブを迎えるのは何年ぶり?
なんと、30年ぶりである!

★★★

普段凝った料理を作らない私は、クリスマスぐらいはと、料理に励む。
メインメニューはローストチキンとシフォンケーキ。
どちらも作り慣れているけれど、料理するのは久しぶり。
やはりレシピを見ないと作れない。
手順も大幅に忘れている。
シフォンケーキは途中で焦げてしまい、こんなはずではなかったと意気消沈してしまう。
毎年娘たちとワイワイがやがや作っていた料理。
今年は私1人だけ。キッチンがやけに広く、静かに感じる。

思いのほか時間がかかりながらも、食べる準備が整った。
テーブルに夫婦2人で向き合う。
もちろんトキメキはない。
シミもシワもお互いに増えたね。
結婚してもうすぐ30年。あっという間とは言えないけれど、短いものだよ。

唐突に、出会ったころの私のよかった点を無理やり聞いてみる。
「悪口を言わないところがすごい、と思った」

え、私ってそんなに聖人だった?
確かに人の悪口を言い続けるのは好きではない。
どちらかというと、前向きな話題が好き。それも、自分の夢を妄想しながら語らいがち。

夫の良いところも思い出そう。
すぐには思い出せないけど、今思い付く夫の良いところ。

束縛せずに、お互いの自由を尊重するところ。お互いにあっさりしているというか、何をやろうが結構自由。〇〇はダメ、△△はしないで、とかはよっぽどのことがない限り言わない。

それから、細かいところにこだわらないところ。結構部屋が散らかっていたとしても、何も言わない。
夫は自分から率先して片付けるわけでもないが、多少ごちゃついていても気が付かないのか、文句を言わないのがよい。こちらも整理整頓が得意なタイプではないから。
料理も、品数が少なかろうが、味付けがイマイチだろうが(ソースやマヨネーズで自分で調整)、何も言わないことがほとんど。

★★★

ちょっと焦げたシフォンケーキを口にいれながら
「なかなかうまいよ」
と言っておかわりをする夫。

味付けが薄目なローストチキンを口に頬張りながら
「ちょうどよい味付けだよ」
と言う夫。口下手な夫の精一杯の愛情表現。

お年頃の娘は外出中。
夫婦2人だけの時間はもっと増えるだろう。
これから何年続くかわからないが、よろしく。
あ、キッチンに1人で立って何品も料理するのはくたびれる。
またごちそうが食べたいなら、今度は手伝ってほしいからね。

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