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かつらぎ町新城を訪ねて② 「新城BASE」のこれから【和歌山】

「水とみどりの美術館すぎのこ」を後にして、午後からは同じ新城にある「新城BASE」を訪ねました。
「新城BASE」は紀美野町から高野山へと向かう道筋にあり、元JAの倉庫を大きく改装、カフェやキャンプスペース、採れたての高原野菜販売所の拠点として準備中。開業は2024年春の予定です。

「こんにちは!」
収穫したばかりの柿をトラックの荷台いっぱいに積んで、運営を手掛ける戸田農園・戸田真寿(まさとし)さんは「新城BASE」に現れました。

戸田農園の新鮮な柿がトラックに満載。

「新城BASE」のはじまり


戸田さんは大阪府出身で、新城への若き移住者です。村議員の一員でもあるのですが、その会議のたびに議題に上がっていたのが、ずっと放置されたままの旧JAの倉庫でした。出てくる意見はいつも、あまりにネガティブなものばかりだったので、何とかしたいと考えた戸田さんは建物を借り受け、まずは一部をご自分の倉庫として管理を始めたそうです。
そのうち、使われていない部分も有効活用したいと考えるようになり、自腹での借金覚悟で改装を目指し、クラウドファンディングにチャレンジ。見事、目標を上回る金額を達成し、加えて公的な補助金も受けられることが決まり、構想はどんどんバージョンアップ。現在も着々と準備が進められています。

「新城BASE」ができること


ドアを開ければ白を基調としたカウンター席があり、その奥には本格的な厨房が。カウンター沿いに歩いて隣の部屋に向かえば、天井の高い広々とした空間が広がります。シンプルな椅子とテーブルが並ぶ一角には居心地の良さそうな革張りのソファも。絵本の棚やおもちゃ箱の置かれたスペースもあり、子どもから大人までゆったりと過ごせる場となっています。
所々に見られる懐かしい昭和の模様ガラスなどはJA倉庫として使われていた際の名残で、戸田さんは、
「新しいものと古いものを上手く共存させたかった」
のだそうです。


スタイリッシュなカウンター席
隣の部屋には、広々とした空間が広がります
絵本やおもちゃのスペースも


懐かしい昭和の模様ガラス

この「新城BASE」で来訪者に何を提供したいのか、ということをお聞きしたところ、まず戸田さんが口にしたのは「新城ならでは」の言葉です。
緑深い山々と澄んだ青空。その風景の下、提供するランチやテイクアウトのメニューは新城に来なければ味わえないものにしたい、ということでした。
たとえば新城米のおにぎりと新鮮な高原野菜を使った豚汁。
アウトドアショップ「Orange」特製のピザ窯も設え、こだわりのあるピザ窯で焼く特製ピザも味わってもらいたいそうです。

カウンターではビール等アルコールの提供も予定されています。来訪者だけではなく、地域の方にも安心して楽しんでもらえるよう、夜にはご近所への送迎も検討しているとのことです。

また、戸田さんは「新城BASE」を地域の作物を集める拠点としても活かしたいと考えています。免許証を返納した高齢の方たちの作物を集め、ここからまとめて大阪へ出荷することができれば、何歳になっても「やりがい」を得られ、そのことが地域の活性化にもつながってゆくのではないか、ということです。

新城への思い

戸田さんのお話には、明るく前向きな言葉が散りばめられていました

戸田さんのお話を伺っていて感じたのは、新城、という地域への思いです。大阪育ちの戸田さんにとって、新城での「助け、助けられ」という人と人とのつながりは、とても貴重なものに感じられるとのことでした。
都会では他人に助けてもらうと金品で対価を支払うのが常識。困っている人を見かけても手を差し伸べないのが当たり前の風潮があるそうです。
ところが新城では「助け、助けられ」の関係が根付いていて、何か助けてもらったなら、今度は自分が困っている人を助ければいい、ということが当たり前。
戸田さんはこれまで他人に頼ることが苦手だったそうですが、多くの地域の方に助けられ、住み始めて3年を越える頃には、お互いさまの精神が身に付いてきたということです。

また、戸田さんは旧新城小学校が全国に先駆けておこなっていた山村留学についても触れ、それを始めた浦 正造さんの行動力にも感化されたと話してくださいました。

取材を終えて


私が最初に戸田さんとお会いしたのは、かつらぎ町で開催されていた2023年の「みんなでぐるっとハロウィンマルシェ」でした。
戸田さんは土手の近くにオリーブ色の軽トラックを停めてお米や高原野菜を並べ、地域おこし協力隊の森藤さんとご一緒に新庄監督の出で立ちで出店されていました。
ちょうど「新城BASE」のクラウドファンディングがおこなわれていた最中で、その時は、
「大人も子どもも楽しめる、秘密基地のような場所に」
と、明るく語っておられたのが印象的でした。

建物横はキャンプサイトとして整えられています

今回、取材させていただいたところ、その時の構想よりももっともっと大きなものとなっていた「新城BASE」。地域の方々からの期待を背負うプレッシャーはあるものの、それ以上に「大丈夫か?」と気遣ってくれる気持ちが嬉しいそうです。

飲食のスペースが充実していることで、地域内外からの、今後の新城を考える人たちが集まる「場」としても活用できそうな気がします。
「新城BASE」はモノも人も集う、大切な拠点となりそうです。
2024年春の開業を楽しみにしています。
(ライター部 大北美年)


ライター部員の思い

「新城BASE」への期待

「水とみどりの美術館すぎのこ」を訪ねた後は、戸田農園さんの「新城BASE」へお邪魔 しました。大阪から移住されてきて、新城を盛り上げようと頑張っておられる若き農業家戸田さん。 元JA倉庫を利用し、カフェやキャンプサイト、新鮮な野菜の販売所として、来年3月オープンを 目指して着々と準備されてます。

特製のピザ窯

 カウンターの奥には本格的な厨房設備が備えられ、こだわりのあるピザ釜も用意されてます。
カフェスペースの一角には子供さんがおられる戸田さんならではの、気遣いを感じられるキッズスペースもありました。
夜には、カウンターでお酒もいただけるとのこと。大人から子供まで、地域の皆さんの語らいの場にもなりそうです。
 完成、オープンがとても楽しみな「 新城BASE」でした。
(ライター部 貞廣 清美)


新城の未来


「水とみどりの美術館すぎのこ」の後は、戸田農園さんの「新城BASE」に向かいました。
ご自身で立ち上げた「新城BASE」を基本に、これからの新城地区の未来を熱く語ってくれた若い戸田真寿さんの声は明るく、頑張れ、と応援の気持ちでいっぱいになりました。

戸田さんのお話を伺っていると、つい笑顔になります

日本ではこれから過疎地域が増えゆくことと思います。でも新城では、若い人の力が集まり、皆で盛り立てていってくれる空気を感じました。
感謝と応援の気持ちがあふれてきた、戸田さんのお話でした。
(ライター部 森田真智子)


「新城BASE」は前記事でご紹介した「水とみどりの美術館すぎのこ」のすぐ近くです。来春には美術鑑賞の後、ゆっくりとカフェでランチを楽しむ……そんな時間を新城で過ごせそうです。

収穫の時期でお忙しい中、お話を聞かせてくださった戸田真寿さん、どうもありがとうございました。

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