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ネオンを見ながら呆けるひと@1

私は今日、ひとり。スターバックスにきている。
慌ただしい年末に背中を押されながら
カフェラテを飲んでいる。

もう36才にもなるのに彼もおらず
ただ、自分のしたいことを、するためだけに買い物をする。
21時。気になっていた小さめのパソコンケースをテーブルの上に出す。

ここは家電売り場とカフェと本屋さんが
一緒になっている喫茶店。まだ、帰る時間じゃない。
おもむろに、ケースからパソコンを出してみる。
意外と小さい。電源は、どこだろう。説明書も開けてみる。
よく分からない。もう一度見てみる、説明書も三折で
字が小さい。とりあえず、落ち着いて。

もう真っ暗な空、繁華街のネオンが瞬く街を見ながら呆ける。
これから何をしようか、何者になろうか。
世の中の同世代は、z世代だと揶揄されて
東京でちやほやされている子もいるという。
ある同世代の男の子は、なにやら会社を立ち上げたらしい。
一円でも会社が立てられる時代だ。
あせる気持ちもある。

「これから、レボルタのパソコンの初期設定を始めます」
急にパソコンが喋りだした。おいおい、恥ずかしいぞ。
喫茶店で、若者たちがガヤガヤしているとはいえ、これは
恥ずかしい。慌てない慌てない、おもむろに音量を下げる。
これだから、機械音痴な私は、自分が嫌いなのだ。
いつも、気持ちばかり先行して、恥を書く。

今の時代、Twitterだの、Instagramだの、YouTuberだの、
が流行る時代。サードプレイスを求めて、多様性を求め、
認められる時代。
私も何か変えられるかもしれない。そう思って、思いきったのだ。
初期設定のidだのパスワードだのに手間取っている場合じゃないのだ。覚えやすくて、忘れにくくて、おしゃれなやつ。
これから、私の相棒になるのだから。
もう明後日は、2020。
何を始めようか、何者に私はなろうか。


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