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ストロボライティングで撮るクルマ

クルマを撮る場合、特に内装では光源が窓からの光が主な光源となる。
しかし窓からの光はどうしても横方向からの光となってしまうため、逆光気味になってしまう。また、横からの光は環境からの反射光のため色が偏っていることが多く、正確な発色が望めない。
そこで、ストロボライティングが活躍することになる。

ライティングというのは、暗い部分を明るくするという単純なものではなく、立体物の形状を浮かび上がらせ、正確な色を出すということである。

下の写真は、ライティングを行わずに横からの自然光だけで撮ったものである。後ろの窓は少し遠いため光としては暗く、主に前面と側面からの光となる。照明光が1方向に定まらないので、全体的に立体感が無い。

次に、下の写真はストロボ光を1つ使ったものである。
バンク(ライトボックス)を使いたかったがスペースの関係で叶わず、天井にバウンスして照明した。これにより、斜め上からのライティングにより立体感が出て、人間の眼には自然な印象を受ける。また天井が無彩色だったため色被りせず正確な色で再現できた。

窓の外の風景が良ければ絵になるが、なかなかそうもいかないことも多いので、そういう場合は夜間に撮るのも1つの方法。ストロボを使うと夜であろうと何ら問題無い。
下の写真は、内装がベージュのため天井バウンスでは色被りが出てしまうが、天井に白い紙を貼るなどすれば問題無い。

またストロボとカメラを車内に固定し、走行中にリモコン撮影すると下のような写真も撮ることができる。これは「PENTAX Q7」という超小型ミラーレスカメラをヘッドレストに固定して撮ったもので、ドライバー目線に近いアングルが得られた。ちなみにこれは天井バウンスではなく小型バンクによる2灯ライティングである。

立体感の表現については、光のメリハリが必要であるので、むやみに柔らかい光で当ててはならない。
重要なのは、メインの光がどの方向から来ているのかが分かるようにすること。そのうえで、暗い部分があれば別のライトで少しだけ照り起こす。あるいは輪郭を出すためにエフェクト用のライトを使う。

ライティングは自然光とは異なり、自由に配置できるのが強みであるから、インパネの表示板が意図せぬ映り込みのため見づらくなったりする場合には色々と調整できる。
下の写真では、インパネ前面に透明カバーがあって自然光で撮るとまともには写すことはできない。

しかし、ライティングを施すことによって、反射を適切にコントロールすることはたやすい。撮影時間や場所に影響されずに、自分で100%コントロールできるのがライティングの最大の強み。

それから、下のインパネでは警告灯やモニタ画面を写したものだが、ストロボ光とのバランスを考えなければこれらの表示が暗くなってしまうので、シャッタースピード(Tv)と絞り(Av)の調整は重要になる。

内装だけでなく、外観撮影にもストロボを使うと良い色が出せるものの、どうしても撮影場所が限られるうえ、ライティング機材も大出力のものが要求される。
だが薄暮の時間帯を利用すれば、それなりに小出力のストロボでも撮れる。

下の写真は、自然光のみで撮ったもの。雰囲気はあるが、正確なボディ色が出ていない。

次の写真は左右からストロボで照明したもの。バンクは使っていないダイレクト照射で少し光が硬いものの、色は正しく表現された。

また、薄暮を過ぎて背景が多少暗くなっても、シャッタースピードを遅くすることで、ストロボ光とのバランスを調整することが可能となる。

最後に、小物類は小さなテーブルトップスタジオを用意すれば自由に撮れる。ただし金属光沢のあるものは映り込みがあるのでやや難しい。自分の姿が映ってしまうと台無し。

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