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現在(いま)を生きる

 さて、子供が産まれて初めてのブログ、そしておそらく今年最後のブログ投稿になる。

 12月10日出産。この日の夜は長かった。妻は翌週に入院をする予定だったが、それよりも早い陣痛が深夜に始まり、急いで病院へ。陣痛の痛みに付き添いながら状況を見ていたけれど、そのままでは出産が厳しい状況となり、緊急の帝王切開で朝に出産となった。

 今は2ヶ月の育児休暇をとり、妻とともに育児に専念する毎日だ。想像していたとおり、馴れない育児に時間を費やしていたらあっという間に一日が過ぎ、もう年末だ。急いでブログ更新をするところである。

仕事に悩まされた1年

 今年一年は、特に4月以降は仕事で頭がいっぱいだった。仲が良かった同僚が異動となり、仕事について親身に相談できる人がいなくなったことも大きかったが、業者とのトラブルが何度も発生し、新年度早々、精神的に疲弊した。異動してから2年目、業者の問い合わせに対して少しは自分で対応しようと、自分の頭で考えて回答したのだが、それが課の見解と全く違うものであり、職場と業者の双方から詰問され、頭がパンクする日々だった。

 頼りになる上司のアドバイスを受け、当面の問題は乗り切ったのだが、次から次へと押し寄せる案件処理に奔走する毎日となり、仕事以外のことは手がつかない日々が続いた。休日も仕事のことが頭から離れないくらいのノイローゼ気味になり(一番ひどいときはおねしょもしてしまった)、自分がこれまで関わっていたような活動はすべてキャンセルとなった。

 正直今の仕事には限界を感じている。稼ぎとしては悪くないし、この仕事が社会で必要なものだという実感もある。ただ、それ以上に今後自分が組織に求められることをこなすプレッシャーに耐えられるか、不安が大きい。遅きに失しているとはいえ、残りの人生のために自分が情熱を注げる仕事を改めて考えたいと思っている。すぐにできることでないにしても、自分が新しい仕事を見つけようとするだけでも、人生を前向きにすることができる。

自宅での映画鑑賞

 さて、そんな仕事に苛まれた2023年だったが、悪いことばかりでもない。休日はストレスにならないことをやろうと、自宅で映画を鑑賞する機会が増えた。

 今はTSUTAYAの「ツタヤ ディスカス」というサービスを使って、月に4本の映像作品をレンタルしている。動画の配信サービスも以前は活用していたが、自分が見たいと思っているような50〜80年代の割と古めの洋画となると、よほどメジャーどころの映画でない限り配信されていなかったりするため、現状ではまだDVDをレンタルする方が費用も安くすみ、便利であったりする。

 ツタヤ ディスカスのおかげで、これまで観たくても観れなかった作品を鑑賞できるようになった。以前から父の友人から勧められていたビリー・ワイルダーの「情婦」、ルキノ・ヴィスコンティの「イノセント」、昔カウボーイ・ビバップの解説本に紹介があったジョン・カサヴェテスの「グロリア」や渡辺信一郎監督お気に入りとされるヴィム・ヴェンダースの「パリ、テキサス」などなど、いわゆる映画通が好んで観そうな映画をあえて今更追っかけている。

 映画館で映画を鑑賞することももちろんいいのだが、自宅でひっそりと、一対一で作品と向き合う感覚が好きだ。それにいつでも停止できるので、トイレに悩まされることもない。上記の映画は昔の作品ということもあり、世界観を把握するのに少し時間がかかるだけでなく、映像のカットやアングル、独特の間など丁寧に文脈を読み取ることが求められるジャンルであり、大勢で鑑賞するには居心地が悪い。仕事ではひたすら周りにあわせることを意識する分、映画鑑賞が大事な、自分と向き合う時間となっている。

カフェでのレコード鑑賞

 もうひとつ大きな出来事として、「スマックコーヒーロースターズ」というカフェとの出会いがある。

 自分の生活にカフェ巡りという概念はまるでなかったのだが、妻が珈琲通で、産地ごとのコーヒーの味などにも詳しく、結婚してから周辺のカフェに遊びに行く機会が増えた。

 そんな中で出会ったここのカフェだが、普段行くようなカフェとは一線を画する独特の世界観だ。

内観
アルファベット順に並んだレコード群
ルイジ・コラーニ作の個性的なカップとちょいと手の混んだパンケーキ
レジにちょこんと置かれたKISS人形とサンタクロース

 写真を見ればわかるとおり、ガレージを改修した店内に所狭しと飾られたアンティークやクラシカルなチェア、昔の映画等のポスター、インテリアや音楽系の雑誌群、そしてレコード店にいるかのような膨大なレコードコレクション、どれもマスターの粋な「好き」が存分に伝わってくるお店である。

 何よりもこのレコード群、60年代以降のロック系アーティストを中心に揃えており、マスターに聴きたいアルバムがあれば針を落としてくれる。店内のアンプが程よい音量で心地よく、何時間でもコーヒーを飲みながら音楽を聴いていられるのだ。

 サブスクの登場で音楽を聴く敷居は一層下がった。僕も現在アップルミュージックに登録しているが、パッと検索しただけで聴きたい音楽がすぐに聴けるのは便利だ。一方、ここ数年で確実に僕の音楽鑑賞に対するモチベーションは低下していた。最後にアーティストにハマったのは5、6年位前に聞いていたsyrup16gやARBといったところだろうか。最近はアップルミュージックの利用回数もめっきり減っていた。仕事を中心にやることが増えていき、アーティストの掘り下げなどする気持ちの余裕もなくなっていたのだ。

 そんな中、カフェで聞いたレコード盤のキラーズ最新アルバム「PRESSURE MACHINE」に衝撃を受けた。静謐な中にもニューウェイブ感漂う確かなロックビートに思わず鳥肌が立った。

 作業のついでではなく、このカフェで音楽と向き合う時間が自分にとって大切なものになった。僕個人はレコードを所有しておらず、また買っても現在の自宅では聴く環境、置き場がない。でも、スマックに行けばたくさんのレコードの中から気になる作品を見つけ、ゆっくり作品と対峙できる。KISSやPink Floydといった往年のバンドの名作を聴くこともあれば、聴いたこともなかったニューウェイブ系のアーティストの作品なども発掘した。スマックに行く度に、自分がかつて音楽を好きだったことを思い出すようで、過去の懐かしい記憶が蘇ると同時に、新たな好奇心が沸き起こってくる。

 レコードだけでなく、モダンなチェアやカップ、店内に飾られた様々なアンティークを見るだけでも居心地がよく、自分にとっては最高のエンタメ空間だ。もう何度も足を運び、すっかり常連だが一向に飽きることがない。今後も新しいアルバムとの出会いを想像するだけで気分が高揚する。子供を外に出してもいい時期が来れば、またスマックコーヒーロースターズに足を運びたい。

まずは子育て

 今年の状況について書いてきたが、まず今向き合うべきは子育てだ。職場に無理をいって与えてもらった2ヶ月間、じっくり子供と向き合う時間にしていきたい。同時に、これまで考える余裕がなくてできなかった、未来についても考える期間にしていきたい。


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