【掌編小説】愛の記録
風が強くて出かけられない。二人で一緒に新しいスニーカーを買いに行く予定だったのに。ユタカの白のコンバースはいくら洗っても取れないコールタールのような汚れでみすぼらしくなっていたし、ミサキのナイキはもう三年も履いていてぼろぼろだった。朝起きて、朝食を食べた後、窓の外を見ながら、風が強いみたいとミサキが言った。ユタカは彼女の後ろに立って、髪の匂いを嗅ぎながら、まあ、出かけられないほどじゃないよ、と言った。街路樹がかなり揺れている。ユタカは彼女の腰に手を回した。ズボンの方がいいか